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【COLUMN】Vol.278 2019鈴鹿8時間耐久ロードレース

2019年鈴鹿8時間耐久レースが終わった。

今年もライダー探しには苦労したな、MOTO2MOTOGPWSBBSBなど、考えられるあらゆるジャンルから可能性のあるライダーを探しまくったよ。

 鈴鹿8耐は特殊な耐久レースで、スピードが無いと話にならない。レース中の展開によってはマップをスプリント仕様に切り替えて勝負する。(以前なら燃費を抑えた耐久マップしか使えなかった)マップと言うのは、インジェクションに燃料を送る量を調整する事、他にも色々調整が出来るんだけどね。今年のレースではトップグループが何度かスプリント仕様のマップを使っていたと思われる。(最終スティントのレイが6秒台で走ったからね、耐久マップじゃ無理)

 しかし、いくらマシンを速くしても乗るのはライダー、これが速く走らせる能力が無けりゃ話にならない。

 何時間目だったか?巧・レオン・マイケルの3台がトップ争いをしているのを見て(こいつ等全員ハルクで優勝したんだよな、強い訳だ)思ったよ。

 平均ラップタイムで俺達と1秒近く差があった今年の8耐、トップチームが220周をターゲットにしていたのに対し、俺達のターゲットは218~9周。ライダーのレベルから考えても届かなかったな。(その速い連中に90秒も“ハンデ”あげた?時点で厳しいけどね)

 長い事レースやっているけど、今年の8耐でやってしまった“ミス”は取り返しのつかないものだった。

予選用に使えるタイヤは本数制限があって、使うタイヤにマーキングのステッカーを貼るんだ(制限数以上に使えないように)タイヤの制限に配ったステッカーをホイルに貼ってしまった。(これならいくらでもタイヤを使える。まあ、実際はBSさんがコントロールしていて無理だけどね)

普通はみんなでチェックするから起きないミスなんだけど、こうやって事故は起きるんだな、そのミスを発見したのが車検員だったのが運の尽き。事前にミスを申告していれば貼り換え(有償)も可能だけど、指摘されてからでは遅いのだ。

要は、わざとホイルに貼って見つからなければ、みたいな感じ。レースディレクションの判断はそれで、盛んに“Cheat”と言う言葉を使っていた。俺はそれを聞いた時(その考え方か、駄目だこりゃ)ペナルティを覚悟した。まあ、生意気に人の事をジャッジした報いが今年のレースの最後にあったけどね「偉そうな事言っているから罰が当たるんだよ」最高にみっともないジャッジ。()

あの稀にみる激しいレースの幕切れにしては、あまりにもお粗末な裁定でした。優勝したカワサキチームは、あの歓喜の画像が無く、とんだ辱め?を受けたヤマハチーム。

 以前の8耐は良かったな、携わる人達全員に一体感があった、みんなでイベントを盛り上げる感があった。鈴鹿8耐は特別なレース、そこに世界選手権の看板なんていらない。

 来年の鈴鹿8耐には勝ちを狙えるメンバーを揃えられるか?外に居なけりゃ自前のライダーを育てるしかない。やっぱり俺達はライダー育成だ、先ずは次のもてぎ2&4か、8耐を戦い終えた涼が、一皮むけた走りが出来れば今年の8耐唯一の収穫となる。

 

【COLUMN】Vol.277 2019鈴鹿2&4

ブレイクの兆し?

茂木で開幕した全日本。第2戦目はJSBクラスのみ行われる鈴鹿2&4レース。涼は、前の週に事前テストで少し手応えを掴んだようで、何となく自信たっぷりな態度をしている。

ライダーは誰でもそうだがいくら隠しているつもりでも顔に出る、涼みたいな若いヤツは特にそうなんだ。あのポーカーフェイスな巧でも自信と手応えがある時は全然違う。

俺は金曜日の夜には「明日のレースは巧が勝つね、中須賀?ヤバいよ」まあ、結果的に的中したから語れる。()

 当の涼、レース1良いスタートダッシュでトップグループに滑り込む。「ヨ~シッイイ感じ」と思ったのも、つかの間僅か2周位で後続に抜かれる、その抜かれ方が尋常じゃ無い。

「???何だ???」その後も順位を落として行く。チョット待てよ、いくら何でも落ち過ぎじゃない?トップグループはおろか、セカンドグループよりも遅く、その後ろのライダーにもつつかれ始めた。タイムと順位は落とすがストレートスピードは相変わらずピカいちなんだ。俺達はライダーがコースへ出たらどうすることも出来ない、何かトラブルが出たらライダーに任すしかない。

 去年から俺達のバイクは速い、同じバイクを使っているチームは他にもあるが「負ける訳には行かないよ」チーフ光太郎。

JSBはプロダクションマシンだからいじれるところは限られる、差を付けられるのはトータルバランスを如何に取れるかだ。(基本だけどね)

ホンダ陣営で一番長く今のCBRを使ってきたからね、色々細かく、、、ねっ。

 そこで、涼。更に順位は落ち8位まで下がった、明らかにおかしいのは分かったが、何がおかしいかは分からない。ピットでヤキモキしているだけの俺達。

涼は何とか踏ん張り8位でゴールした、レース1は周回数が少なかったのが良かった。帰ってきたマシンをチェック、トラブルは明らかに出ていました。

 序盤に涼の後ろに付けた加賀山が 「コイツおかしい何でこんなに暴れているんだ、早く抜かなきゃと思って抜いても抜き返されちゃう、涼のバイク速過ぎ」 嘆いていた。()

 それからトラブルの原因究明に努めたけど、特定は出来なかったな。

こういったトラブルは早く出た方がいい。8耐本番なんかで出られたら一巻の終わりだよ。トラブルに関連する部品は全部交換して万全を期した。

 8耐本番と言えば、今年も俺達はライダー探しに苦労している。なるべく早いうちに絞り込んでテストにも多く乗って欲しいから。しかし、俺達の本命視していたライダー、プランAはダメだった。一人は本来のレースに集中したく、もう一人は契約の問題。プランAで残ったのは水野涼だけ。当たり前か()俺達は今、プランBからCにまで網を張っている。

 レース2では生き返ったマシンで涼が暴れた。一瞬、逃げる巧を追って2番手になった時は問答無用で喜んだよ。セカンドグループでレースが出来た涼だったが、最後のシケインでは経験の差がでたね。まあいい、新しい経験が出来た事は次につながる。涼にとってこのクラスに上がってから一番いいレースが出来たと思う。表彰台に足が掛かっていたけどね、野佐根に蹴飛ばされてしまったな。()

 レース前の事前テスト、レースウイークと恒例のグリーンミーティングもやった。鈴鹿の飛ばし屋達、半端じゃない。70歳の古希を迎えるジジイには荷が重い、なんて言いながら少しでもオーバードライブすればいい気になる。気だけは若い現場監督でした。

 

【COLUMN】Vol.276 最悪のレースから丸一年

2019年開幕もてぎ

今年も全日本が開幕した。例年寒かったり雨が降ったりとかで、あまり良いイメージがなかったけど、今年は天気に恵まれたな。

 レース前にトランポがバイクや機材乗せたまま盗まれた事件が複数起きたり、岡山では不幸な事故があったりと暗かったが、レースは好天気のせいもあり、各クラス好タイムが記録されていた。

GP3は当時とエンジン規定が違うので比較にならない、GP2は予選用タイヤを活用した高橋のタイムはハードルが高い。そんな中、JSBの巧と中須賀が驚異的なタイムでレコードブレイク。BSSTタイヤは半端ない、GP2のスリックと遜色ない?特に岡本の走りは圧巻だったな。GP2の哲平や育寛にハッパをかけたよ。

 俺達のレースはGP2から、哲平は去年ポールポジションスタートながら、チェーンが外れるトラブルでリタイヤしている。(未だにナゾのまま)朝のフリー走行が終わった時点でチーフの堀尾が渋い顔(決していい男に使う意味での渋いでは無い)「昨日から水のリターンが多いんですよ、特に水温が高い訳でも無いのに」朝、考えられるパーツは交換して出たらしい。俺は「去年の事もあるから換えよう」即答した。

事務局に行き申請用紙にエンジン交換理由を書き込み終了、、、じゃない。受領書の代わり?に領収書!俺「今払うの?優勝するから賞金から引いてよ」そんな事を聞いてくれる所では無い。ハッキリ「ダメです」()

 恐らくヘッドガスケットの不良だろうね、エンジン壊す前に換えるのが無難。レースは哲平が二年分のうっぷんを晴らす勢いでブッチギリ優勝。榎戸も健闘していたが、表彰台には届かなかったな、まあ、少しずつ上がってくるだろう、スピードのセンスはある。

 その次は前日のレース1に続いてJSBのレース2.涼がレース1に続きレース2でも6位入賞。トップグループの二人はもちろんの事、セカンドグループにも離された涼の顔は悔しさでいっぱいの表情。この顔が必要なんだよ、6位で満足していたら先が見えてしまう。

JSB二年目の涼が今年ブレイクするかどうか、俺達が去年感じたことから、今年の取り組み方を変えさせたことの成果が試される。

 最後はST600.上原大輝。これが問題。いいものは持っているんだけど何故か発揮出来ない。

JP250みたいなヌルいレースやらせたからなのか、本人の性格なのか、とにかく解らない。話は良くするしバイクについても良く勉強している(と思う)とにかく成長しない。

レースも2周目の1コーナー飛び込みでハイサイド転倒。スタート前に「基本を忘れるな、スローイン・ファーストアウトな!」全日本のレーススタート前に言う言葉でも無いとは思うけど、実際、タコ突込みするからしょうがない。そして案の定。(苦笑)

 俺も数多くの若いライダーを育ててきた、もちろん全部がトップライダーになれる訳ではないけど、色んなタイプの奴がいるね。

 去年はアホな競技監督のせいでポイントを取り損ね、それが響いて年間ランキングが落ちたのでトップエントラントの優遇が一切受けられず、それどころか特別枠申請をARTに出したので、総額ん十万円の損失(よりによって今年からエントリー代金高くなったし)

いい加減な規則書(俺のお陰でさっさと修正したね)のせいでエントラントが多大な損失を被る。俺は一年間声を上げ続けるよと公言していたからあっちこっちでブチまけたけど今回のもてぎで収める、丸一年。早え~な、うちのライダーも早く成長して欲しいモンだ。

 

【COLUMN】Vol.275 2019年スタート

正月も過ぎ、今日は成人の日。

街には、普段は絶対に着ないであろう着物姿で着飾った女の子達がうようよ。

近年、選挙権年齢引き下げとか成人の年齢を18歳にとかで、世の中が変わってきている。18歳で成人と言っても、酒やタバコは20歳からとかで、ややこしい。

反対に歳を取ったほうは65歳定年とか70歳年金交付とかで、高齢者の現役延長が検討されている。要は社会における稼働人数を増やそうとしているのか?そのくせ土日休みを推奨し、振替休日や正月お盆休み、今年からゴールデンウイークは10連休?合計すると1年で120日以上も休みを取る計算になる。1年は365日って昔から決まっているから、3日に一回休む訳だ。社会の稼働人数は増やすけど、休みも取りなさい。企業は大変だ、勤務社員が増え、人件費は高騰、稼働日は少ない。何だかチグハグな感じがするのは俺だけだろうか?

俺達のレース界は、と言うと「少子高齢化」の波をモロに受け、ライセンスの発給枚数はガタ落ちで、最盛期の3割前後?(詳しい数字は忘れた、雰囲気)10万人が3万人前後って事。各カテゴリー別の数字を持っているのはMFJだろうけど、俺達のロードレースに関して言えば惨憺たる数字だ。地方選でGP3クラスが出走3~5台なんてザラにあるし、1台だけって施設もある(1台で、どうやってレースやるんだろう)。ほかのクラスに混走させるらしいけど、もう、ただの走行会だね(苦笑)。

人数が多かった時は、今より細かくライセンスが分かれていたけど、今は国内・国際だけ。まあ、フレッシュマンだジュニアだと、何だか分からない区分もあるけどね。

地方選・全日本選手権分かれてレースやってないで、統一ポイントにして、地方選はハーフポイントとかにすれば国際の選手が地方選に流れないかな?近所のサーキットだけ出ればイイ訳だし、練習出来て上手く行けばポイント加算出来る。誰が何処でどれくらいポイント稼いでいるか集計は大変かも知れないけど、MFJはその位の努力をしないと。テレビで他のスポーツ見ているとヒントがある。積極的に変革し、成功している他競技のシステムを研究する必要があると思うし、良い部分が見つかったら取り入れれば良いのでは。

携わる人達が、みんな優しいし大人しい(俺もそうだけど)。過激で危ない事は絶対に言わないし、やろうともしない。旧態依然となるのは必然、劇的な変革をしないと今のままでは廃れていくのは目に見えている。

新年早々耳の痛い話で申し訳ない。

レース界に、かつての様な輝きを取り戻さないと。取り返しのつかない事になってしまう前に、抜本的な改革をする英断を下して欲しいものだ。

今年も宜しくお願いいたします。

 

【COLUMN】Vol.274 2018年最終

忘年会のスケジュールもおおむね終了し、今年も残すところ今週一杯で仕事も終わり。

ハルクとしては予想していた事ではあったけど、厳しいシーズンでした。

昨年まで長い事一緒に戦った巧が移籍し、若いライダーばかりになった今年。巧なら上手く行かない時、マシン・ライダー両面から分析し、足りない部分をお互いに補う努力で戦えた。ところが若く経験の少ない涼だとそうは行かない。良かれと思って施すセッティング変更が逆に涼を迷わせる事になる事がしばしばあった。俺達は巧とやっていた経験を元にセッティングを施すが、涼にとってはセッティングが変わる度にフィーリングが変わるマシンに手こずるんだね。幅が狭いというか、許容範囲なのか、ピーキーと言えばいいのか、俺達の使っているマシンは気難しい。タイトコーナー、高速コーナー、上り下り、切り返し。あちらを立てればこちらが立たず、みたいな事に翻弄された。「そんなの、みんな同じだよ」と、言う人もいるかも知れないけどね。どのレベルで折り合いを付けられるか、なんだよな。

今年、俺達の目標はランキング10位以内だった。結果は11位。開幕のもてぎで規則書を良く見ない、思い込み競技監督のせいで1レースを失ったのが最後まで響いた。まぁ結果論だけど、あのレースで涼を黒旗出してまで無理矢理止めなければ、俺もしつこく言わない。自分の未熟さを棚に上げ、エントラントに不利な裁定を下す。権限を与えるとそれを振り回す、江戸時代の目明しじゃないんだから(お代官様のMFJは不備を認め、速攻で規則書を直した)。俺達が受ける損失は、10万20万じゃ済まない事を認識していないんだね。

まあ、元はと言えばサイティングラップで転倒した涼が悪いんだけど、若いからしょうがない(苦笑)。

その涼の、チャンピオンマシンを受け継いだ哲平。同じもてぎの開幕戦で、ポールポジションからスタートしながら、何とも不思議なトラブルでリタイヤ。俺の50余年に及ぶレース人生の中でも記憶に無いトラブル。いわゆる負の連鎖ってヤツだったのかな?!

俺達は今年最終戦まで勝ちが無かった。毎年複数のクラスで戦い、何れかのクラスで毎年勝利を重ねてきた俺達。「このまま終わるといつ以来の不名誉な記録になるのかなあ」。

15年以上続いた記録を継続させたのが哲平。難しいコンディションだったが、見事な勝ち方をしてハルクの記録を守ってくれた(まあ、誰もそんな事、知ったこっちゃ無い、俺達だけの秘かな喜び)。頑張った哲平は、最終ランキング3位まで上がった。

去年JP250で国内ライセンサーながら度々総合優勝を決め、当然のように初代チャンピオンになった上原大輝。今年はST600に上がり、もう少し活躍するかと思っていたけど、上手く行かないものだね、最終ランキングは11位だけど、大輝はもう少し行くと思っていた。

個人的にはだいぶ悩んでいたようだけど、俺達の世界は結果が命。今年の苦労が来年花咲くように、センスだけで言えば今の若手の中ではピカ一だと思っている。

鈴鹿の8耐は・・・思い出したくないなあ。

事前テストからバタバタだったから、決勝までにチームとしての体裁が整わなかったね。当然ベストなセッティングも決められずに臨んだ決勝。一番ベテランのランディが、何と2周目の2コーナーで転倒。その後再スタートしたが、欠損した指先からの出血と痛みからピットイン。彼はそのままリタイヤ。残りの二人で臨んだが、涼がウエット路面に再び足を取られ転倒し腕を骨折。この時点で俺達の8耐は終わった。たとえ涼が戻って来ても、残りをドミニク一人ではどうにもならない。

 「来年こそは」なんて根拠のない強がりは言えない。準備が出来たら言う時は言う。

レースは俺達だけでやっている訳じゃ無いから、負けることはある。要は負けた時に負けた理由を良く考え、次に生かす事。

今年はたくさん負けたから来年のレースに生かす事が一杯ある。若いライダーの育成を始めて早、20余年。こんな事、嫌というほど経験してきたからね。

今年も私どもを応援頂いたすべての皆様にお礼申し上げます、有難うございました。

 良いお年をお迎え下さい。

 

 

【COLUMN】Vol.273 2018全日本最終戦MFJ-GP

2018年全日本ロードレース選手権も全日程が終了してだいぶ経つな。最近はコラムも中々更新していない、理由はスマホのせい。FBやLINEなどで近況を都度報告がてらアップしたりするから、PCのキーボードで改まってワードで文章を書くネタが・・・(くどくど言い訳しているだけ)

最終戦の鈴鹿、毎年天候が悪く晴々した感が無い。今年は何故か木曜日の特別スポーツ走行から天気が良く、珍しいなと思っていた・・・が、やはりMFJ-GPは雨に祟られるんだね。決勝日だけはしっかり雨に翻弄されたよ。

JSBのレース1はしっかりウエット路面。他クラスも同様。俺達は今年、全日本で勝ちが無い。多くのクラスを戦い、何某かのクラスで勝ちを収めてきたが、ヤバい、2002年以来の記録が。俺達の胸中を知ってか知らずか、GP2の哲平が頑張ってトップ争い。途中少し離されかけたがしぶとく追い掛けトップでゴール!「ヤッター・ヤッター!ヤッターマン」不名誉な記録を作らなくて済んだ。

俺達の全日本なんて、そういった秘かな喜びと誇りしかない。15年以上全日本のクラスで、必ず勝ちを収めているチームなんて俺達以外に知らない。

最後のJSBレース2は微妙。俺は何とか路面状況を確認したかった(俺達のスポンサーであるブリヂストンは中途半端な路面用のタイヤが無い)。昔でいえば、カットスリックだとかインターミディエートみたいなタイヤがあったが。選べるのは、硬い、柔らかいの二種類のレインタイヤだけ。

俺は、もしかしたらスリックタイヤで後半勝負もありかな?と思い、直前のレジェンドレースでコースを走ってきた伊藤真一に聞いた。「スリックで行けるか?」伊藤の答えは「・・・」今、走ってきた伊藤でも迷う路面状況だった。

抜け目が無いのはYチームのワタル。俺が伊藤と話をしているのはしっかり確認していて、「シゲキさん、どんな状況だって?」俺が答える筈が無いのを知りつつ確認してくる。可愛いけど敵の監督としては油断のならない奴だ(鈴鹿8耐4連覇監督は伊達じゃない)。

結局、レースは俺達の悩みをあざ笑うかのように、前述のインターミディエートを持っている清成が、まさしくブッチギリで優勝した(たまには、こんな事も無いとなあ~!龍一)。

全日程を終えて、GP2クラスで哲平がランキング3位、ST600上原とJSB水野は、ともにランキング11位。

毎年、年間ランキング上位を占めてきた俺達には物足りない結果だったが、仕方がない。全員、クラスルーキーだったからな。口だけで若手育成だなんて言ってるチームがあるけど、20年以上連続して若手のライダー育成に努め、ライダーを輩出している俺達からすれば、「悩みの中身が違うよ」って、ところかな。

レースが終われば、後は打ち上げ。ホンダファミリーの打ち上げは例年通り。それが終わってからチームの打ち上げ。若手のセイヤと大輝は二次会場にたどり着けず、会場の階段を上がり切ったところでダウン。

若手の育成は、こんなところにも苦労が・・・(苦笑)。

【COLUMN】Vol.272 全日本後半戦スタート

毎年感じることだが、鈴鹿の8耐が終わると、全日本の後半戦は一気に終盤戦に差し掛かる。

俺達は毎年、8耐明けにさっさと?夏休みを取り、後半戦に備えるのが常だ。世間の人達に合わせてお盆に休むと、休み明けの全日本、もてぎラウンドの準備に支障をきたすから。

 珍しく夏休みを海外で、なんて思い、風光明媚なベトナムのハロン湾やボートクルーズで自然を満喫?・・・出来なかったな。失敗した8耐の反省や来年の事などが頭から離れない、8耐で骨折した涼の全日本はどうしよう、走れなかったら代替えのライダーは。ハロン湾の船の上で考えてもしょうがないのに。(苦笑)

 休みが明け、早速もてぎ。案の定、試乗した涼は 「レーススピードは無理です、力が入らないので転んでしまう」弱気なコメント。普段強気な言動の涼だけに、俺は(相当ヤバいな)感じた。考えてみれば無理もない、腕をバッキリ折ってプレートで止めてから1週間も経ってないんだから。それでも一度は「乗ってみます」トライした涼、若いけど普段からの強気な言動は伊達じゃない。

 急遽リプレースに指名した哲平。8耐では1000に乗っているけど、ただでさえ難しいもてぎ、行き成り乗せて何処まで戦えるか?それよりも乗れるか?だったな。

まあ、結果から云えば及第点?の15位、俺はレース前に「哲平、1ポイント1万円の賞金だ」煽ったが、哲平は終始クレーバーな走りで、地味に6ポイントゲット。(笑)

哲平にとっては良い経験になったようで、その後のオートポリスでは終始良い感じで走っていたな。(600のGP2マシンが軽く感じるのだろう)

 そのオートポリス。東京からだと一番遠いサーキットだが、天気さえ良ければそれこそ“風光明媚”?阿蘇の雄大な景色は目の保養になる。朝、ミルクロードという山道を上がっていくと、緑の絨毯と共に雲海が広がる、それは見事な景色なんだ。

ところが、一歩間違えればその雲海は、山間のオートポリスを覆い尽くしてしまうんだ。全日本の事前テストは正にそれで、ほとんどまともにテスト出来なかった。(オートポリスの電源設備のトラブルもあったけどね)

 俺達にとっては哲平が良い感じだったのと、涼が、もてぎの時より全然良くなっていたことが確認出来たぐらいのテストだった。

 翌週改めてオートポリスへ。

最悪!この一言に尽きる。先週のテストからまともに走れていないのに、レースウイークも同じ。参りました。

ST600JSBに2クラスが2レースを予定していたが、キャンセル。ほとんど走れないまま、奇跡的に晴れた日曜日に一気に予選・決勝。

俺達は、調子の良かった哲平が最後まで優勝を争ったが惜しくも2位、涼は相当苦しかったようだが、何とかこらえて8位、大輝も初めて一桁フィニッシュ。

なんだ、テストなんてやらない方が成績いいな。(苦笑)

 来週は岡山の事前テスト。やらない方がいいかも知れないけど、やっぱり行こう (苦笑)

 岡山が終われば、後は最終戦の鈴鹿だ。ここで手綱を緩めたら、今までの苦労が水野涼?スイマセン、水の泡になる。

 

【COLUMN】Vol.271 2018鈴鹿8耐

28800分の180で終わってしまった。

8時間耐久は、480分、28800秒。俺は8時間を秒数に置き換えるのが常なんだ。

今年の8耐は180秒ほどで終わってしまった。実際には5時間近くまで走って、順位も15位ほどまで追い上げていたが、トップとは5ラップ以上の差が付き、俺達が望んでいた優勝はおろか表彰台すら絶望的になっていた。

レースは諦めたら終わり、俺達は最後まで望みを捨てずに闘っていたが、今年も俺達には足りないモノがあったのだろう、何と二度目の転倒を喫してしまった、それでもピットまで帰って来てくれれば俺達は諦めずに闘っただろう、しかし転倒した水野は左腕をバッキリ骨折、再びマシンに跨ることが出来なかった。

最初に転倒したランディは右手の小指を欠損し、水野は腕。仮にマシンとライダーがピットに帰って来ても、残りの3時間をドミニク一人で闘うのは無理があっただろう。

2018年の8耐は終わってしまった。あっさりしたモンだ、去年から準備していたつもりだったが、アッという間に終わってしまう。レースって怖いよな(何を今更?)(苦笑)

2004年から本格参戦した鈴鹿8耐、参戦2年目3年目と連続で表彰台に上がり、2010年には頂点に立ち、13・14年と連覇。その後、俺達のチームで闘ったライダー達は他のメーカーやチームに移動。今年の上位チームには、もれなくハルクプロで優勝経験のあるライダー達が揃っていた。(優勝経験のあるライダーは強い、当たり前だが速い)

今年のレーススタート前、ライダーに「転倒はダメ、完走することが大事」言うのを忘れた、ライダーだって転倒は嫌だし、ケガするのはもっと嫌な事なのは百も承知。仮に俺がスタート前に注意したからと言ってどれほどの効果があるか疑問だけどね。

8耐の難しいところは、スピードと安定性のバランス。今年の8耐は、正にその二つが求められるレースだった。一人が欠けても、キッチリ優勝したヤマハチーム。走行後ピット裏で出くわしたマイケル、一言目に「涼は大丈夫か?」走り終わったばかりでこの言葉、余裕が違う、まあ、マイケルの人柄もあるけどね。

俺達にとって厳しい結果しかない今年の8耐だったが、巧やタカが2位になり、藤井のTSRチームがEWCの年間チャンピオンになった。たった一回の鈴鹿すら失敗した俺達からすれば、シリーズチャンピオンを獲得したTSRチームはすごい、心からおめでとうと言いたい。

俺は常々、レースは準備8割現場2割と考えている。今年に関しては準備の段階で5割くらいだったかな?スピードの部分では何とかなったが、レースを闘うセッティング、安定性に関しては仕上げ切れなかった。

上手く行かなかった原因を究明し、来年に向けて準備を始めなくては。

俺達は絶対に諦めない。

 

【COLUMN】Vol.270 2018鈴鹿8耐真近!

全日本の前半も終わり、いよいよ8耐だ。

今年の夏は異常に早く、毎日が酷暑。そんな中でも8耐のためのテストはやらなければならない。一回目のテストは雨、まあ、梅雨の真っ只中だったからしょうがない、お蔭でウエットのテストは十分過ぎるくらいやった。

 翌週のテスト三日間はドピーカン、毎日35度超えで、ライダーもメカニックもヘトヘト。

俺達も、セッティングの摺合せ、燃費の測定、ロングランで問題集積他、確認作業満載。

 昨年まで長い事一緒にやっていた巧が、今年はHRCに移ったので、俺達に基準が無くなった。全日本で涼が乗っているマシンセッティングがそのまま使えれば良かったが、細かな問題が出てくる(毎度の事ではあるが)例年だと巧がきっちりタイムを出すので、他の二人は何も言えない。今年は基準の涼が巧ほどの絶対感が無いので、チームとしても迷いが生じる。まあ、それだけ巧は安定感があったということだね。

 昼間の走行が終わると当然食事、今年の外人ライダーは全員和食好き、それも寿司。

俺がいつもお邪魔している寿司安に行ったら「美味しい・美味しい」満足そうな顔。良かった、俺達も海外へ行くと食事は大事なイベントのひとつになる。日本にいると気にならないのだが(当たり前だ)仕事が終わってからの食事は大事。海外から来ているライダーも一日の仕事が終わり、食事が楽しみである事に変わりは無い。

翌日又食事、俺が「何食べたい?」そうしたら又「寿司」どんだけ好きなんだよ。() 

ところが、彼等の行きたい寿司屋はどうも違う、何という事か、回転すしに行きたいと言うんだ。俺は大笑いして「いいよ行くよ」

 その回転すしで驚いた事。注文するのに使うタッチパネル、ちゃんと英語表記があるんだね、ビックリだよ。念願の回転すしに来られたランディ、得意げにタッチパネルを操作して注文の嵐、俺のがなかなか来ないだの、何でドミニクのが早く来るんだ、誰がこんなに注文したんだ?これはなんだ?俺は笑いながら「全部ランディのコントロールだよ」言ってやった。寿司安とは違う食べ物だったけど、楽しくコミュニケーションが取れたよ。

 PJ(パトリック・ジェイコブセン)は何と!お好み焼き、それも“浪花でおます”だって

俺はすぐにピンときたね、(藤井だ!)知る人ぞ知る知らない人は全く知らないけど、関西風のゴッテリしたお好み焼き(以前は元気のいいお姉ちゃんがやっていたけど、今は知らない兄ちゃん)変なモンが好きなやつだなPJ。

 今年の8耐ライダー選抜は紆余曲折があったけど、結局元のサヤに戻った。

水野 涼、ドミニク・エガータ、そしてランディ・ド プニエ。助っ人の二人共とてもイイ奴だし、食べ物の心配もない。昼間はパスタにバナナ、涼にはミニトマト食べさせておけば心配ないし(笑)

今年もハルクプロは全力投球。

 

【COLUMN】Vol.268 全日本R4菅生

今年も梅雨の真っ只中に菅生のレースがあった。毎年雨にたたられる感のある菅生だが、今年は良かった。JSBクラスが土曜日にレース1が有るから心配だったよ。

 そのレース1、ウオームアップラップで多重クラッシュがあった。モニターにも映ったのでレースディレイになるなと思ったら、赤旗。???

絶対に1周しか回らないはずのウオームアップラップ。普通に考えたらレースディレイで、片付けコース清掃が終わった段階で1周減算のスタート、これが普通。レーススタートしていない段階で赤旗って、要は全部無しでやり直し。

多重クラッシュの原因になったライダーも何もかも関係無く、やり直し。

 俺のレースに関する考え方は、走ってナンボだからレース前の事なんかどうでもいい。競い合う事が楽しい。それがレースだと思っている。ただ、今回のケースではクラッシュの影響を受けてレース1を走れなかったライダーがいたのが可哀想だった、原因を作ったライダーはレースを走る事が出来たのに(ディレイドなら何某かのペナルティがある)。

 今回の場合、先頭集団でのクラッシュだったので、主催者は即赤旗で後続に危険を知らせる判断だったようだ(しかし、レースでは無くウオーミングアップラップ)。

イエローフラッグは何のためにあるのだろう?こういった判断で赤旗を出すとライダー達は今後もイエローフラッグを軽視する危険性をはらんでしまわないか?(ホントに危なけりゃ赤旗が出るさ、なんて)

 オートバイのレースは危険が伴う。それは分かっているつもり。だからこそキチンと約束事は守らないと、それは参加者も主催者も同じじゃないかと俺は思っている。

 その荒れたレースで涼が初めて上位を走った。JSB経験の少ない涼は微妙なコースコンディションや路面温度に対しての対応が未熟だが、今回は低い路面温度を上手く掴んで、今季最上位でのフィニッシュを果たした。

 翌日は全クラス。最初のレースがGP3、このレースも赤旗中断でレースやり直し。

転倒したライダーに対してコースオフィシャルのミスリードがあり、説明を受けたライダーがレースに参加出来なかった(この場合は、規則に則った判断だが、コース上での説明に誤りがあったようだ)。※赤旗の場合5分以内にピットレーンに戻らなければならない。

 押し掛けでエンジンの掛かり難いGP3マシンとセルフスターター付きの他マシン、同じ時間内に戻れという規則、少し不公平な感じがするのは俺だけだろうか?

故にGP2マシンもセルフスターターを装備していなければならない規則があるのに。

GP2では哲平が粘りの走り?で3位表彰台ゲット。トップグループからは離されてしまったが、クラス初の表彰台だから、まずはめでたい。

 JSBのレース2。昨日のようには行かなかった涼、それでも当面の目標であるシングルフィニッシュを果たしたので、今回は及第点(笑)。

 最後が上原大輝ST600。昨年はJP250で常にトップグループを走り、とても国内ライセンスとは思えなかった走りを見せた大輝、ところが今年ST600に乗せたら全然お話にならない。あんなに速かったヤツが、まるで別人のように萎縮して元気がない。自信が無いのか分からないのか、誰かれなく走り方を聞きまくって、余計に混乱している(笑)。

まあ、誰でも一度は通る道だから俺はほったらかし。自分で考えて上がってくるしかない。頑張れ大輝。

 

ぜ今週は筑波だ、先週の事前テストでは涼が来て二人にアドバイス。涼は自分以外には極めて厳しい。でも、さすがに全日本で2クラスのチャンピオンは伊達じゃない、視点が鋭い。涼が二人いれば、涼の走りも厳しく見れるのに。(笑)