2010年全日本ロードレース選手権シリーズ第5戦 第5戦岡山国際
第5戦岡山国際
■選手コメント
浦本修充「とにかく前に出てレースを引っ張るつもりで決勝に臨んだのですが、ちょっと突っ込みすぎてしまいました。でもメカニックの仲地さんにいろいろアドバイスいただきながら、高いレベルの走りを目指していて、少しずつそれが出来ている実感があります。この流れでさらに頑張り、先輩方に負けないリザルトを出していきたいと思います。」
■レースコメント
前回のSUGO大会でやっとトップレベルでレースが戦える状態に仕上がってきた浦本とRS125R。今回はより高いレベルでレースが出来るよう、事前テストから意欲的に走りこみを続けた。その積極性が功を奏し、土曜日の予選では1分37秒809のタイムで総合2番手となり、フロントロー2番手という好位置を獲得した。軽量な 125ccマシンで戦うこのクラスは体重の軽いライダーが有利で、身長のある浦本は62kgと決して太っているわけではないのだが、このクラスのトップライダーは皆40kg台であるため、10kg強のハンディを常に背負っている。速いスピードでコーナーに飛び込み、その速度を落とさずに立ち上がり加速へつなげるのが浦本にとっては速いラップタイムを記録する大原則なのだが、そのためには前が開いていないとならない。決勝では早いタイミングでトップに出て、そのまま自分のラインを走り続けることが優勝するためには要求される。
うまくスタートを決め、2周目にトップに立ってレースをリードしようとした浦本だったが3周目のメインストレートでスリップストリームを使ってパスされてしまい、抜き返そうと高いスピードでコーナーへ入ったところ速度が高すぎてラインを外してしまい、一気に6位までポジションを落としてしまう。前をふさがれ、自分のラインで走れない厳しい状況になってしまった浦本だったがそれでも諦めずに攻め続け、一時は9位まで順位を下げたが、再度盛り返して6位チェッカーとなった。
■選手コメント
小林龍太「最初のレースは絶妙のスタートが切れたのでしめたと思ったのですが、再スタートではそれが出来ず、しかもレース中にトラブルが出てしまい、その対応に手間取り、順位を落としてしまいました。何とか走りながら対応できるようになり、順位を盛り返しましたが辛いレースになってしまいました。でもマシンのセットアップの方向性も見えてきて、とてもいい状態になってきています。次のツインリンクもてぎのコースは得意ですから、このセットアップで走るのが楽しみです。」
中上貴晶「金曜日ほとんどまともに走れず、ライバルに対してかなり遅れを取ってしまった印象でした。ですがそれでもセットアップの方向性が見えてきたので、決勝は楽しみにしていたのですが、シリアスなトラブルが序盤から出てしまい、走りきれるかどうかマシンの状態を見ながらレースすることになってしまいました。そういう状況だったので、攻めるとかバトルするとか、まったくそういうことは出来ませんでした。でもマシンのセットアップはいい感覚になってきていますので、残りのレースは高いレベルで戦えると思います。」
■レースコメント
今シーズン、原因不明のエンジントラブルに見舞われているMuSASHi RT ハルクプロのST600マシン。今回も金曜日のART合同テストでトラブルが発生してしまい、午前、午後と2回のセッションを走行できたのだが、2台ともまったく全開走行に入ることが出来ず、厳しい状況となってしまった。それでも土曜日午前中の予選で小林、中上ともにコースを攻めた。朝からどんよりとした空模様だったが、昼前に雨が落ちてきてしまい、一時はフルウエットに。しかし急激に天候は回復。このクラスの午後の予選はドライで行うことが出来たが、路面に雨が染み込んで乾ききれなかったようで滑りやすいコンディションとなってしまった。
少しでも周回してマシンを仕上げたい小林と中上はラップを重ね、周囲は午前中よりタイムが上がらない中、午後にタイムを更新して見せた。しかし前日に走れなかった影響は大きく、小林が12番手、中上は21番手と、追い上げのレースを強いられるポジションとなってしまった。
ドライでレースはスタート。しかし1周目に多重クラッシュが起きたことから赤旗中断となり、レースは仕切り直しとなった。絶妙の飛び出しで一気に5位まで順位を上げていた小林だったのでこの赤旗中断は痛かったが、再び同じダッシュを見せるしかない。
しかし同じスタートダッシュを決めることは出来ず、1周目の順位は小林が7位、中上は19位。ここから激しい追い上げに持ち込みたいところだったが、2台ともにまたしてもマシントラブルが発生してしまい、小林は10位で、中上に至っては24位という順位でゴールせざるを得なかった。
■選手コメント
高橋巧「事前テストから今ひとつ波に乗り切れず、予選は絶対に雨になってほしくないと思っていたのですが、ウエットコンディションになってしまいました。このクラスのトップライダーたちはベテランが多く経験豊富なので、コンディションの急変は経験の少ない自分にとって不利になることが分かっていたからです。状況を読みきれず、ドライタイヤでの走行を考えていなかったことから最終セッションに進むことが出来ず、20番手という位置からのスタートが、最後まで尾を引いてしまいました。気持ちを切り替え、残りのもてぎ、鈴鹿に臨みたいと思います。」
■レースコメント
事前テストから今ひとつ波に乗り切れない高橋巧。このレースウイークにトップレベルの走りを取り戻したいところだったが、予選開始直前に雨が降り出してしまい、レースウイーク初のウエットコンディションとなってしまった。ベテランの多いJSB1000クラスを戦う若手ライダー高橋にとって、こうしたコンディションの急変は経験の少なさから、対応が難しくなる。
今回の予選はノックダウン方式が採られ、最初に40分の走行が行われ、そこから24名が次の15分間のセッションに進め、さらに12名に絞られてラスト15分のセッションが行われる。雨が止み、路面が乾いていく難しいコンディションとなってしまった。最初のセッションは難なくクリアした高橋。しかし次のセッションはまだ路面が乾かないと判断していたのだが、強く風が吹き始めたことから瞬く間に乾いていき、周囲はスリックタイヤでタイムアタックしていく。高橋はレインタイヤでこのセッションを最後まで走る予定だったことから、急遽ピットインし、タイヤを換える時間はないのでサスペンションセッティングだけ行ってタイムアタック。しかしスリックタイヤで走れる状況をレインタイヤでのタイムアタックは非常に厳しく、20番手で終了となり、最終セッションに進むことはできなかった。
それでも決勝ではスタートで一気に13位あたりまでジャンプアップし、ここから追い上げ開始。最終的には15台抜きの5位でチェッカーとなった。この結果、16点を獲得し、トータルポイント89点で依然シリーズランキングトップの座をキープしている。