【COLUMN】もてぎから珠海へ。
全日本がもてぎで開催されて本格的に2024年シーズンが開幕した。
今年はST600に濱田寛太というライダーを抜擢した。俺はフィリピンキャンプに濱田を呼び特訓したので、どれくらい600に乗れるようになるか楽しみでもあったね。
濱田は口癖のように「僕は慣れるのが遅いんです、慣れたら速いです」言うんだ。俺はこの男が600にいつ慣れるのか期待と不安が入り混じる。
フィリピンキャンプではCBR300Rなので身体の慣らしとオートバイに乗る感覚は養えると思うけど、重くパワーのあるCBR600RRとは全く違う。
日本には四季があり過ごしやすい国だと思うが、我々のようにオートバイのレースをやる者にとってはシーズン開幕前の3月は天気に翻弄される。寒ければ雪さえ降る。又、温暖な日は20度を超す事もあるからね。
全日本の開幕前には事前テストがあり、更にレースウイークも木曜日から走行が始まる。
正直走行機会多すぎるよ。ライダーは走行機会が多ければ確認出来ることが増えるので嫌じゃないだろうけど、チームの負担は増すばかり。サーキットの収益も大事なのは理解出来るけど、程良い加減で調整出来ないものかね?
今年の開幕は先月の鈴鹿2&4だったが、今回は実質的な開幕だ。今年のもてぎは適度な気温で、事前テストから安定した天候で迎えることが出来たね。
安定した天候の中で走行量をこなせば大概のライダーはタイムを詰めてくる。前述の濱田寛太。「お~い、どれだけ走れば慣れて来るんだよ」寛太の言葉は置いておき、俺は速いライダーになる奴はこれが出来る、逆に出来ない奴は、いくら教えても時間を与えても出来ないものは出来ない事を知っている。濱田寛太がどっちのタイプなのか?寛太次第で決まる。
CBR1000RR-Rは今年も新型が出た。JSBの名越は新型CBRをセットアップして参戦しているが、ST1000の國井勇輝は旧型で参戦しているがそれには理由が。國井はアジア選手権と掛け持ちで走っている。暖かい東南アジアは3月開幕でも何も問題が無い、問題は早い時期に開幕する事で新型マシンが間に合わない。全日本では新型に乗る事が出来るが、アジア選手権では昨年型を使用では、俺達も大変だがライダーはもっと大変。キャラクターの違うマシンをレースごとに乗り換えるのは得策とは言えない。どちらかのレースが必ず犠牲になるし、下手したらライダーも頭の切り替えが出来ずに混乱してしまう恐れがあるからね。そうなったら本末転倒、元も子もない。長い事レースをやっている俺の勘で安全パイを振った訳。
國井は俺達の意志を受けて完璧な仕事をこなした。前週のテストからウイークの全セッションをパーフェクトにトップタイムでこなしレースもぶっちぎりで“全日本初優勝”を成し遂げた。これほど長い時間を掛けて熟成したライダーも珍しい。(笑)
俺は國井勇輝を再度世界へ戻してやりたい一心で環境を整えてあげているつもり。全日本とアジアの両天秤は事前テストが多いだとか言っている俺が、明らかに矛盾しているのは承知の助。自分の範疇で出来る限りのサポートをしている訳よ。
レースで結果を残すためには明らかな矛盾もい問わないレース屋なんです。
暴れん坊の國井勇輝とは対照的に、新型CBRで奮闘しているのが名越哲平。鈴鹿2&4では氷のような路面で事前テスト、レースウイークの2回大転倒で、奇跡的に怪我も無く走れたのは良かったが、表面的な怪我は無かったけど心には大きな傷が。
もてぎでは哲平らしい切れのあるブレーキングも無く、必死にマシンを抑え込み走る姿にもはや言葉は無かった。まあ、暖かくなれば良くなると信じて。早く治ればいいな。
もてぎが終わって、今週は珠海へ。久し振りにきたけど変わったなあ珠海。ビックリだよ。昔、忠さんや池さん達と来た時は、まあ、ローカル色満載のサーキットや街並みだったのに
全く昔の面影が無く、忠さんが「三百三百」言っていたのが夢のような変貌ぶり。
さあ、今週も勝負だ。