【COLUMN】2024年開幕
今年も鈴鹿2&4から全日本が開幕した
今年はF1レースが春に移り、鈴鹿サーキットはイベントの組み換えを大胆に行った。
俺達のレーススケジュールも前倒しになり、事前テストが2月に開催される羽目になったんだ。2月の鈴鹿と云えばそれは寒く雪が降る事も珍しくない。事前テストは雪こそ降らなかったが寒く、路面温度も一桁から上がらない。走行環境がそんな状況の時二つの考え方がある。一つはひたすら我慢して転倒しないように走る。もう一つはレースを想定して少しでもペースを上げてレースデータを取る。当然後者の方はリスクが高いし事実転倒も多い。
俺達は長きに渡ってブリヂストンタイヤのサポートを受けタイヤ開発にも協力している。2週間後に行われるレースのためにもただ転倒しないようにゆっくり走っていたんじゃ仕事にならない。そのことを理解している名越はリスクを承知で攻める走りをするわけだ。結果、転倒。(泣)
いくら長い事やっていてもダメなものはダメ。(レースの時はもう少し暖かくなって欲しいな)会社に戻り傷ついた新車を補修し開幕戦に備える。
迎えたレースウイーク、2024鈴鹿2&4レース。気温は事前テスト時と殆ど変わらず我々ホンダ勢にとっては嬉しい状況では無かった(唯一D社のタイヤ開発チームだけはホンダCBRで気を吐いていた)この時期は特に強いY社、新規参入のイタ車に乗る水野も好調だったね、スズキの渥美も速かったが相当際どい走りだった。金曜日のART走行で名越がやってしまった。バックストレートエンド130Rの入り口で突然フロントを失い大転倒、先週治したばかりのCBR‘24モデルは首が捥げ哀れな姿でピットに帰ってきた。今度は廃車だ。まだ1レースもやってないのに。(泣)
翌土曜日は小雪が混じる最悪の天気、フォーミュラーがオモチャのようにくるくるスピンしているのを見て(コリャ無理だな)急遽ART事務局経由で参加選手にアンケートを取った。結果9割以上のライダーが予選キャンセルを推奨したので、レース事務局にその旨を伝えたところ、予選走行中止が決まった。決勝グリッドは前日のART走行のタイムを参考に決める(これはMFJの規則通りだ)
前述の低温ウエルカムのチームなどからクレームが入ったが、俺は以前から言っている。チームもライダーも一人一人の意見を聞いていたら絶対にまとまらない。みんなの意見を聞いてそうなったら合わせて行くのが大人というもの。(実際俺達だって個人的には、予選やって少しでも前のグリッドに並びたかったよ)
決勝の朝、異常に車が多い。元レーサー野田秀樹さんの愛娘がスーパーフォーミュラにデビューするとの事で、TVとかで特集もしていたせいか4輪系のファンと見た。(まあ女人気だと思うけどね)
俺達だって“黒船襲来”とかで(真っ赤だけど)俺達のホンダグループから飛び出していった水野が、ユキオと共に全日本を凌駕する勢いだったから楽しみではあったし、それなりに前宣伝もあったからね。(水野人気もJUJU人気には敵いませんでした)
レースは案の定、低温ウエルカムチーム同士の闘いで、俺達なんか蚊帳の外。
頑張る水野をかわし優勝したオーバー40thライダーはさすがでした。(アイツももう少しファンサービスに気を使ってくれるとなあ、若い方まで真似するようになっているのが残念だね)
金曜日に300Km近いスピードで転倒した名越がビビらずに決勝を走ってくれたのが一番嬉しかった。(ビビッていたのかも知れないけど)
とにかく名越が怪我しなかったのが何よりだった。(あのスピードで奇跡的な生還だったからね)
決勝が終わって片づける間もなく俺は羽田空港へ向かい、タイ・ブリラムへ。
アジア選手権開幕戦、AP250はJakobの代わりにAlfonsiがどこまで出来るか楽しみ半分ドキドキも。
ASB1000は國井勇輝が2度目のブリラムをどのくらい攻略するか出来るか?俺達の‘23モデルに対して’24モデルがどのくらいなのか?鈴鹿では、ある程度見ることが出来たが直接相対するのは初めてだから不安と共に楽しみ?も。
Alfonsi(アルフォンシ)は予選ではまだマシンとコースに慣れず苦戦したが決勝では堂々闘い2レースともシングルフィニッシュを果たした。
國井勇輝も頑張っていたが、‘23モデルは若干パワー不足を感じたね、最後の伸びの部分でやられてしまったのが可哀想だった。(でもしょうがない、俺達に’24モデルが納品されるのは来月だからね)
毎回タイラウンドはSDGの皆さんに助けてもらえるので本当に助かる。今回は柏木御大が出張中で、ミセス柏木のパーフェクトな準備でした。いつかミセス柏木をポディウムに押し上げたい。