【COLUMN】2023MFJ-GP

2023年の全日本ロードレース選手権が昨日終了した。

鈴鹿の8耐が終わり翌週のアジア選手権インドネシアロンボグ島マンダリカサーキットでは最悪の事態が起きてしまい本当に沈んでいました。

我々の仕事は危険と隣り合わせ。ほんの数分前に笑顔で別れた奴が・・・

俺と故埜口遥希の出会いは突然だった。遥希の師匠中野真矢から、「重樹さん、一度会って欲しいライダーがいるのですが」連れて来たのが埜口遥希だった。

俺は(あ~ぁ、何時だか筑波の全日本で勝った奴ね)遥希の印象は礼儀正しい好青年という感じだった。「僕は関西の立命館大学に在籍しているのですが、大学はきちんと卒業したいと考えています」いや、俺は貴方の学校の事なんか興味は無いよ、「学校とレースは両立できるの?」聞いたら「それが出来なかったら意味が無いので必ず両立させます、中野さんのように」へえ~、中野のファンなんだ。

レースが始まってからの遥希は、第一印象の礼儀正しい好青年のイメージがどこかへ行ってしまい、言ってみれば、祖父ちゃんに甘える孫みたいな感じに変わった。(苦笑)

ただ、この甘えん坊の孫は一たびコースに出ると人が変わった、とにかく研究熱心で、コース戦略にも長けていたし、マシンについても細かく質問とセッティングを試すタイプで、仕上がるのも早かったので、初コースでも早い段階でベストに近いタイムを記録出来た。

レース前にはお決まりの言葉「会長!このレースで勝ったら○○○下さいネ」レースを前に気分よく走らせたい俺は、「分かったよ」いつも獲られた(苦笑)

その甘えん坊を失った俺の胸は何かがつかえてる感じがしばらく取れなかったが、帰国後のオートポリスで不思議なことが。ST1000で榎戸勝った瞬間に胸のつかえが噓のように取れた。食道に詰まった芋が一気に胃に落ちた感じかな?ホントに見事につかえが取れたんだ。俺は(これか?この気分が俺を何十年もこの世界に縛りつけているんだな)思ったね。

残念、悔しい、悲しい。一度の勝利で消し去ってしまう魔法の薬がレースにはある。

もてぎ2&4レースでは参加者が遥希の冥福を祈り黙とうを捧げてくれた。しかし、そのもてぎでも悲しい事故が起きてしまった。俺は当日にインドネシアから帰国したので現場には行けなかった。何とか頑張って欲しかったが、後日谷本君が亡くなったと情報が。なんともやり切れない。(もう勘弁してくれ~)

岡山のレースでは國井勇輝のリプレースライダーに長島哲太を走らせた。普段乗った事の無いST1000車両だが、さすがに世界へ出て行き何度も頂点を極めただけあって、ひと味違った走りを見せていた、が。予選でやってくれた。(苦笑)その予選、ピットへ戻って来れたので速攻で修理(1周しか走ってないのでタイム計測されていない、下手したら予選落ち)して送り出せたが、転倒の際にフロントホイールとタイヤにダメージがあるので決勝用のタイヤを使うしか無かった。(ここに決勝レース転倒の布石が?)

決勝に使う予定のタイヤを使ってしまったので、タイヤ屋さんに行き「このダメージどうですかね決勝に使えますか?」タイヤ屋さんにしてみれば使って事故が起きたら嫌なので「決勝には使って欲しくないですね」

ST1000クラスはタイヤ使用本数制限があり、予選決勝で2セットと決まっているのでこのような場合、申請すると10、000円の手数料と新しいタイヤ代金に加えてピットスタートのペナルティもある。(レースやる前に負けると分かってしまうよな)

そもそも10、000円の変更手数料って何?意味が分からないうえに、ピットスタート。せめて最後尾グリッド位にして欲しい。

結局傷付いたタイヤは使えず、予選で使ったタイヤで決勝をスタート。レース自体は長島がコントロールしていたが、目の前で転倒した荒川を避けようとインにラインを変えようとしたら、元々中古で厳しかったフロントタイヤは悲鳴を上げグリップを失い転倒。

トップ2台が転倒して入れ替わりに元気印の2台がトップ争い、その内の1台が榎戸。

鈴鹿8耐でコンビを組んだ國峰と二人のトップ争いは最終ラップまで続いたが、あろうことかWヘヤピンの進入で差を詰めようとした國峰が止まり切れず榎戸に激突。勝ったのは絵に描いたような漁夫の利を得た渡辺。何だかなぁ?

哲平はオートポリス以来元気が無く、岡山でもフィーリングが出ずに苦戦している。早く元の哲平に戻って欲しいモンだ。

最終戦鈴鹿では榎戸のチャンピオン争いが楽しみ。哲平のニューアイテムが功を奏してくれれば以前のように哲平の元気な走りが見られる。最終戦は特別スポーツ走行が水曜日からなのでじっくり仕上げることが出来るので嬉しい。

榎戸は相変わらずで、日替りバイオリズム?上がったり下がったりして、「もう、ダメです何がどうだか分からないっす」次の走行後「行きますよ~気合ですよ」どっちの榎戸が本物なのか?(笑)

レース1では哲平がスタートの出遅れを取り戻すべく頑張ったが4位。

日曜日は榎戸が張り切って出て行ったが、張り切りすぎ?シケインで止まれず、ナント!國峰に激突してしまった。何で國峰と?俺達はしょうがない自分の責任だから。可哀想なのは國峰。謝っても済むことでは無いけど、速攻でTOHOさんにはお詫びを入れに。改めて、「申し訳ありませんでした」

この二人のお陰?で、三連覇と喜んでいた奴がいたのは言うまでもない。とは言え、棚から牡丹餅も、その下にいなければ食えないからね。

哲平のレース2はスタートを決め、今度はどこまで行くか?期待していたが、途中のコースアウトも響き、レース1と同じ4位(レース後の俺の動き方次第では3位も有ったが、同じく2位もあったユキオがアクション起こさないので、そっとしておく事にしたが、本心では納得してはいなかった)

チャンピオンは取れなかったが、チームポイントST1000が3位、JSBが4位と、まあまあだったかな。数多くのチームが狙っている訳だから両クラスともトップ5に入れば、及第点は?

 

鈴鹿は大好きな街だ。俺は平田町フアン。今回は児玉のとーちゃんと毎晩ご一緒だったね、児玉親父も平田町ファンらしいけど一度もご一緒したことが無い、二人とも毎晩同じような店で飲んでるのにだ。お互い気が合わないでしょう?とは寿司安の大将の弁。

それで今回は毎晩お互いの時間を合わせキッチリご一緒した。最近めっきり弱くなった俺は、10時前には「じゃあ、俺明日も早いのでお先に」残された親父の面倒を見てくれたのは、ご存じ平田町の夜を仕切る男松本浩ちゃん。(笑)

翌日は「いや~松本さんは強い」児玉親父。毎晩の事だから、とうとう日曜日の朝は酒でやられたのか、声がほとんど出なかった。(笑)

浩ちゃん、児玉とーちゃん、ご苦労様でした。又来年。