【COLUMN】Vol.284 全日本ロードレース選手権第3戦?!
本田重樹コラム
全日本ロードレース選手権第3戦?が終わった。次は最終戦鈴鹿、短かっ!
事前テストが無かった今回は変則的に木曜日からの走行。今年はコロナのせいでとにかく走行機会が少ない。事前のスポーツ走行をこなすチームもあったが、俺達はウイークの走行に留めた。
木曜日の走り出しはみんな慎重にセットを詰めていく段階だが、うちには約1名そんなの関係無しとばかりに吹っ飛んで?行く奴がいる。俺はいつもの通りいつもの場所で走行チェックして、メカニックに車体の動きやライダーの走りを確認してアドバイスしているので、セッティングの完成度もある程度見極めている。セットが出ていない状況で無理をすればマシンは意にそぐわない動き方をするし、その先にあるのは転倒。
俺はピットで「バイクと相談しながら少しずつ上げて行け」ライダーにアドバイスしている。毎回これは言っている、ルーティンみたいなモンだ。これに答える返事のいいヤツが71番(苦笑)ところがこの男、コースに出た途端に忘れてしまうようで、前にニンジンぶら下がると喰う事しか考えない。セッティングの最中だという事を忘れて行ってしまう。当然のように・・・(泣)こんな事が一発目で起きれば、怪我こそしないがマシンがボロボロでセッティングどころか、走らせる事で精一杯、当然不安定なマシンで午後の走行となる、又ニンジンに飛びつく、又転倒。(泣)
「お前なあ、ミニバイクじゃないんだから簡単に転ぶな、怪我しないからまだいいけど、セッティングどころか走らせる事で精一杯になっちゃうよ」ST1000はローコストと言うけど、転倒コストは半端じゃない、マシンが重いから破損も大きい。メカニックは破損修理で大忙しだ。
うちにはもう1台ST1000が走っている、こっちは慎重に進めて行くタイプ。日曜日の決勝で結果を出したのは後者である事は言うまでもない。
ライダーの性格は色々だ、俺達の前では絶対に見せない裏の顔があるのだろう。考えてみれば俺より半世紀も後に生まれてきた連中だ、ジェネレーションギャップなんてモンじゃない、話が出来るのが不思議なのかも知れない。(笑)
それでもレースが好きでやりたいから、話の合わないジジイとでも会話?しているのかも知れないな。
レース1を失った涼が俺達の前では平静を装っていたが、宿に帰って夕飯をこれでもかっていうぐらい喰って、宿のおかあさんをびっくりさせていたらしい。ヤケ食いだったんだね。
ジェネレーションギャップと言えば、ライダー間でもあるみたいで。うちの一番若いライダー、ST600やっているんだが、コイツが涼や哲平曰く「アイツはヤバいですよ、何考えているのか分からない」育寛は同じカラーの後輩だから色々教えているらしいが、まったく動じないマイペースなヤツらしい。(笑)(いい子なんだけどね、俺達の前では⁉)
まあ、アイツの元親分の中野も、気に入らないとピットで大暴れしたなんて昔話もあるし、タレントカップの時の親分は元HRCの中本氏、DNAかも知れない。(笑)
レースは面白い、一般社会では半世紀も年の離れた連中とチームを組んで戦う事は珍しいだろう?俺達のレースは同じベクトルで上も下も無く戦う。こんなに面白いレースが一般人に浸透しないのは何故だろう?もっともっとPR方法を考えメジャーなものにしなくてはならない。
何年か前、イタリアでホテルのエレベーターに乗り合わせた老夫婦「今日は速かったね、明日のレース応援しているよ」ウエアを見て思い出したのだろう。異国の地で知らない老人から声を掛けられる。日本では未だに経験した事がない。