【COLUMN】Vol.267 全日本ロードレース選手権第三戦オートポリス

連休明けにオートポリスで2&4が開催された。

 オートポリスで毎年悩まされるのが気まぐれな天候。今年もまんまとハマってしまった。

今回は事前テストがゴールデンウイーク中にあたるので開催されなかったし、全日本の基本的な約束事で、木曜日の特別スポーツ走行も無く、金曜日のART走行からとなった。

 金曜日は絶好のコンディションで、大津の町からミルクロードを上がっていくと見事な緑の草原が広がっている。俺はこの景色が大好きで、この景色が楽しみでオートポリスに来ているようなものなんだ(笑)

 JSBの涼はこのところ調子が悪く本人曰く「スランプなんです」スランプに陥ったライダーを数多く見てきた俺は、JSBチームと相談して「リハビリセットで行こう」対策セットで現地入りした。

 金曜日の一回目、二回目と走り、モヤモヤした感じが取り切れないまま下山?翌日も好天に恵まれたが、残念ながらまだ予選。俺は「今日が決勝だったら良かったなあ」何度も呟いていた。そんな中で行われた予選1回目、涼は2回目に進める10位以内から滑り落ちそうだったので予選2で使う予定のニュータイヤを投入して二回目の予選に滑り込んだ。しかしその予選2で、ポールのヤマハからは2秒以上離されてしまった。

余程の事が起きない限り挽回は出来ない。

 日曜日、決勝の朝。ホテルの部屋から見える景色は真っ白、雨も降っているし、何よりも暖かくて風が無い。(霧が出るには絶好?のコンディション)暗い気持ちで、昨日までは絶景だったミルクロードを登って行く。(だから言ったじゃない、昨日やっておけば(苦笑))

 コースに到着してもやる事が無い。ARTの仕事?で車に乗ってコースチェック。やったって同じ、見えないものは見えない。度々時間をずらし何とかフリー走行をこなし、即決勝。

しかし、この決勝が難しかった。朝から降っていた雨は上がったが、立ち込めていた霧(下界から見れば完全な雲?)が中々晴れなかったので思ったようにはドライにならない。

 グリッドに付いた涼に「スリックで行けないか?」何度も確認したが涼の答えは「無理です」

ライダーが無理と言っているものを俺達は強要出来ない、走るのはライダーだから。

 10年位前に岡山で当時のライダー小西良輝に「お前なら出来る、ドライタイヤで行け」スタートした時は水しぶきが上がるほどだったが、小西は見事にブッチギリで勝った。

 レースを前にしたライダーの心境は複雑だ。もちろん、どんなライダーだってレースに勝ちたいと思っている訳で、負けに来るライダーなんていない(いるのかな?)

 ハイパワーのビッグマシンを微妙なコンディションの中でスリックタイヤをチョイスするのは、勇気と技術の裏付けが必要だ。

結果的にはコースは乾き、ラスト5ラップ位はレインタイヤを履いたライダー達は惨めだった(その中に涼もいたが)スリックに賭け勝負に出たライダー達には勝利の女神が微笑んだ。

 今年は勝つどころか表彰台にも上がれないレースが続いている。この悪い流れを早く断ち切らないと。(この流れを作った野郎がいるんだよな~)なんて嘆いている場合じゃない。

実力で断ち切らないと。勝利の女神に名前忘れられてしまう。