Vol.196 オートポリスからミサノへ、

オートポリスは大変だった。

水曜日の特別走行で巧が転倒、鎖骨の外側?を骨折してしまった。本人は脳震盪でまったく覚えていない様子。病院へ行ったあとにレースを走りたいなどと言ってたが、俺は認めなかった。骨折もそうだが脳震盪は油断するとクセになるし、何よりも本人の安全に関わるから。

その後、レースをどうするか考えた。龍太はテストで来ていてレースには出る予定が無い。しかし、1000ccマシンにまったく乗った事が無いに等しいライダーをいきなりレースに乗せるのは危険極まりない。
龍太にはアジア選手権にスポット参戦してもらい、経験を積む事にした方が良いと思った。
いきなり怪我したので不参加でも問題は無かったが、せっかく応援に来てくれるMuSASHiの皆さん始め、ファンの皆さんの楽しみを少しでも増すためには、、、
俺は清成に打診してみた。彼はアジア選手権に参加しているのでJSBクラスに出ても問題は無い。

キヨは即答した。

『走りたいです』

その後各方面に連絡し、清成参戦の準備が整った。

レースでは徳留が幸先良く優勝。し烈なトップ争いを制しオートポリス初優勝を飾った。すごく嬉しそうな顔が印象的だったな。

メカのチャゲも同じで、

『俺、結構頑張りましたよね?』

当たり前だ。

頑張らないで勝てるレースなんて、あったとしたら魅力半減だよ。とにかく頑張った二人が抱き合って喜んでる姿は微笑ましかった。

俺達がサポートしているアジア選手権のチームはMuSASHi Boon Siew HONDA。今回は龍太も参加して頑張ったが、地元?のカワサキ藤原の前に、なす術無く負けた。
テストの有無が勝敗を決めたと言ってもいいかな?今回から新スペックのタイヤが投入されたが、俺達はまったく初めてのタイヤ。事前にテストが出来たチームとの差は歴然としていたよ。
日本のレースも問題山積みだけど、アジア選手権も問題はある。

ワンメイクタイヤ、イコールコンディションのレースなら機会均等でないとね。

その後、JSBのレースではキヨが頑張った。

ナント!トップ争いを繰り広げ、2位でゴール。最後の周回でバックマーカーに行く手を遮られ、せっかくのレースがつまらない結末になったが、それを差し引いても十分楽しめたと思う。

毎回思う事だが、JSBクラスのバックマーカーは何とかならないのかね。本人達もレベルの違いはあれどレースをしている訳だから、一概に悪いとは決め付けられないけど、レースの面白さをスポイルしているのは間違い無い。

オートポリスの翌日には成田からイタリヤ、ミサノへ飛んだ。

タカのレースもヨーロッパラウンド終盤戦を迎え、何とか結果を残したいところだ。ましてやミサノはチームの本拠地ボローニャに程近いコースで、応援団も半端じゃない。

前回のチェコ、ブルノでシャーシトラブルが出てレースを失ったので、今回は事前テストをローマ近郊のバレルンガで敢行した。朝8時から夕方6時迄、ガッチリ!さすがのタカも、最後は若干バテ気味だったけど良いテストが出来た。

サンマリノはイタリアの中にある変な国?だ。ミサノから程近い場所にサーキットがあり通勤?は楽だった。このサーキットでいちばん驚くのが住宅との距離。近い家の二階からはレースが観れるほど?日本のサーキットが近隣に気を配って音量規制しているなんてチャンチャラおかしい。イタリア、スペインいや違う、どこに比べても日本ほど気を遣っている国は珍しいかも。

俺はプローモーション委員会などで、音量を上げて欲しいと何度も申請しているが、却下されるんだ。レースは一般人じゃ理解出来ないスペシャルな世界。理解出来ないものを中途半端に近づけようとしても所詮無理なんだ。それなら徹底してスペシャルにすれば一般人が興味を持ってくれるかもしれない。そんなモンじゃ無いのかな?レースは色んな意味でスペシャルなもの。サンマリノへ行くと強く感じる。

レースはレース1でいい感じだったが、赤旗中断。リスタートしたレース2はセッティングをわずかに変更したのと、タカのスタートが良く無かったので中団グループの先頭11位で終わった。

トップとのベストタイムがコンマ3秒しか変わらなかったので1周目の展開がもう少し良ければと悔やまれる。タカもレース2の事が頭から離れないと言っていた。

終わった事はしょうがない。

失敗からはたくさんの事を学べる。

問題はそれを次回のレースに生かせるかどうかだ。

俺ももう少しだ。予選までは行くようになっているが、いつも決勝が・・・。

まだまだだな、俺も。