Vol.181 2011年最終戦

東日本大震災の影響でスタートが大幅に遅れた2011年全日本選手権が終わった。

今年もまったく歯が立たなかったST600クラス(泣)。

21世紀に始まったST600クラス。11年のシーズンで21勝を挙げ、5回も年間チャンピオンになったチームハルク・プロがこの2シーズンでたった1勝しか挙げられない(悲)。

CBR600RRはこのクラスが始まってから今年の最終戦でちょうど50勝をマークした。俺達の次はTSRチームが14勝、2チームで35勝、7割の勝数、チョッと凄いと思う。

TSR藤井は、さっさとこのクラスから撤退したので関係無い顔しているが(笑)残された俺達は必死だ。クラス立ち上げに尽力し、CBR600RRの勝利に多大なる貢献を頂いた朝霞の小澤源男さんが「来年定年を迎えるので現場に来れるのは今年で最後なんだ」と話していたので、最後の年に俺達が勝利出来なかったのは残念だったな。CBR50勝を記念したシャンパンをゲットしたのは辰也だ。(運のいい奴だ)(笑)

小澤さん、長い間本当にありがとうございました。

来年のST600はどうなるかな?MFJが提唱したローコストクラスに則って、登録タイヤ制度が継続されているが、レースで考えた時には???少なくとも年2回くらいの登録にして欲しいモンだ。

その小澤さんが現状のST600クラスを危惧して出来たGP2クラス。STクラスからのコンバートも良し、新規参入はもちろん。とにかくつまらないお金を掛けさせないようにしようと、世界のMOTO2とは一線を画したクラスにした。俺もその考えには大賛成だったから、積極的にローコストマシン“ハルク・プロHP6”を製作したんだ。

昨年の小西に続いて今年もタカがチャンピオンになり、世界のトップシーンで活躍するモリワキ・TSR2社の高価なマシンをまったく寄せ付けない完璧なレースを見せた。

タカ曰く、「ハルク・プロHP6で、もてぎに出たかった」と言わせたほどのポテンシャルに仕上がってきた。

参戦全戦でレコードタイムを出してのポールTOウイン。こんな記録を誰が予想したか。ST600に飽きた人達に是非目を向けてもらえたらと、一生懸命やった成果が出たというモンだ。なにせMOTO2マシンの半値から三分の一で造れる圧勝マシンなんだから。

JSBの巧は今年も獲れなかった。GP2に比べ逆に高価なマシンに乗っている巧、世の中上手く行かないモンだね(汗)。

岡田や小西にたくさんのアドバイスを貰い、完璧なマシンと体制で闘いながら1勝しか出来なかった。ランキングこそ2位だが、まだまだチャンピオンには遠い走りのようだ。

俺達は、なんとか巧を勝たせようと画策したが、いくら高価なマシンでもライダーが乗って初めて生きる。ライダーなしでは所詮1mmも動かないんだから。

まあ、昨年の最終戦では同じ雨のレースで秋吉に1ラップされたことを思えば、少しは成長したかな?身体の成長ぶりとは裏腹にとてもスローペースなライダー巧だ(苦笑)。

激動の2011年シーズンだったな。俺達が造ったGP-MONOクラスも、その役目を終えて今年で無くなる。俺は最終戦のグリッドへ行き1台1台のマシンを見させてもらった。グリッドの半分以上が俺達が造ったHP250で、そのウチの1台が最後のチャンピオンになった長島哲太。嬉しかったよ。

今年は先の大震災で日本は大ダメージを受けた。まだまだ復興には程遠い最中、今度はタイで大洪水。日本の自動車メーカーを始め、多くの会社が多大な被害を受けている。我々をサポート頂いている武蔵精密工業さんも例外では無い。

そんな中、「こんな時だからこそ明るい材料になるよう来年も頑張りましょう」と、力強い言葉を戴いた。俺達が出来る事はレースしかない、全力で戦う姿が暗くなる世の中の一筋の灯りになれればとの思いは変わらない。