Vol.147   300Km

300Kmが終わった。
8耐のシュミレーションが出来る300Kmは、俺達にとって凄く重要な位置づけになっている。
俺達は今までの耐久は全部身内でレースを戦ってきた。シュミレーションも、自チームのアベレージを計ったり体力の確認などを含め綿密に出来た。今年は初めて8耐特別チームを編成するので少し勝手がちがうんだ。
タカを今回の300Kmにエントリーしたのも、俺達の中で勝手が違うライダーをどうやって走らせるかの練習の意味合いがあった。もちろん副産物としてタカの経験値を増す狙いもあった。
ところが!今回の300Kmは難し過ぎた。

金曜日のフリー走行で初めて1000に乗ったタカは順調にタイムも伸ばし、非凡なところを見せた。ブリヂストンとの契約の関係から、レースに使える本命タイヤの本数に制限があり、タカは予選まで一度もニュータイヤを使えなかったが毎回走行の度に1秒ずつタイムを上げたタカは、予選でとうとう一桁台(2分10秒を切る)に届くかという勢いだった。(実際、各セクタータイムのベストを拾うと9秒台に入っている)
本人は初めての1000で力が入り過ぎ、身体中が筋肉痛だったらしいが(笑)去年まで8分の1の排気量のマシンしか知らなかった奴が大したモンだ。ホントにタカのバイクに乗る適応能力には感心させられる。

300Kmのレース進行が始まる頃空は今にも雨を落としそうな雲行きだった。スターティンググリッドに整列しウォームアップが始まった時、待ってたように雨が落ちて来た。
主催者判断で赤旗、スタートディレイになったのでスタート後の混乱は避けられたが、俺は不思議に思ったよ。レーススタート時タワーにはWETの文字が提示されていたはずだ。(実際、レインタイヤを装着したチームもあった)ウエット宣言されてなければとてもナイスな判断だったと思えるが、レインタイヤを装着してたチームの立場は?

主催者にとっても難しいレースだったが、俺達も頭を悩まされたよ。微妙なコースコンディションでは一瞬の判断が勝負の分かれ目になる事が多い、まして俺達のチームは若い巧と一昨日初めて1000に乗ったばかりのタカだ。
最後まで悩んだのがタカの出番。巧はスタート後の数周こそペースが上がらなかったが、その後ペースを掴んでからは安心出来たが、ピットインしていきなり微妙なコースコンディションのレースに放り出されるタカの心境はドキドキどころじゃ無いはずだ。
俺はタカに「こんな状況のレースに飛び出す勇気と経験があるか?」聞いた。タカは「走りたいけど、無理です」正直言えば走りたかったと思う。しかし必要以上のリスクは背負いたくない。ましてや一昨日初めて1000に乗ったばかりのライダーだ。

最後のピットインで巧にドリンクを渡したのはタカだ。半ズボンにTシャツのタカを見た巧が、それだけで全て理解すると思ったから。案の定、巧は一瞬、腰が砕けそうになっていた。

巧は本当に頑張ったし、タカも良くガマンした。俺達はこれから8耐本番に向けて頑張る。
約一カ月の間にキッチリとテスト項目をこなし本番に備えよう。俺達が持っているものを全て出し切ればおのずと結果が付いてくる。

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