Vol.116 新生鈴鹿!
岡山で周平の練習とヤスのタイヤテストに行った。
周平にはマシンセッティングをあまりせずに、ひたすら乗り込む方法で250の勘を取り戻す事に徹してもらった。俺はコースサイドから走りを見て随時アドバイス。周平は少しずつ250のライディングが出来るようになってきた。
もてぎまでに何とか元気な周平を見せられるようにと、岡山まで出張して臨んだテストだったが、まだまだ課題が山積してる、もうレースウイークしかない。後は周平の感性に頼るしか無くなった。元々プレッシャーには強い性格の周平が、速いライダーに囲まれてどれだけ真価を発揮できるか?もう時間は無くなった。
イマイチ元気の無い周平に比べ、久しぶりにバイクに乗ったヤスは元気いっぱいだった。
「いや~楽しいっすね」ヤスは声を弾ませていたが、調子に乗り過ぎたか?裏ストレートからのブレーキングでやってしまった。(基本!変わって無い)(苦笑)
ヤスは数多くのタイヤテストを重ねながらもタイムは速い、テスト同行してメンテを受け持った光太郎曰く「ヤバい!龍太より全然速い」テストマシンなので大したエンジンメンテもしていないマシンながらトップスピードもキチンと乗せてくるあたりはさすがである。
周平とヤス、2台のマシンとライダーをコースサイドで見ていると5年位前にタイムスリップした感じだ。夜一緒に御飯食べてる時なんか相変わらずで、こいつ等本当に変わらないな(笑)
岡山から鈴鹿に直行した。2&4に行くために。去年あたりに開通した新名神高速が便利で、あっと言う間に鈴鹿に着いた。新生なった鈴鹿サーキットはまるで海外のサーキットのようで、広くなったパドック、ピット等で一瞬迷子になりそうだった(汗)
前回の筑波で残念な結果に終わった辰也が、どれだけ巻き返せるか?俺達は気合いを入れて鈴鹿に立った。
一発目のフリー走行から辰也は自己ベストを更新、前回の筑波での調子を維持している。
フリー二回目では辰也自身未体験の7秒台へ突入、更に予選3回目では7秒260のコースレコードタイム、僅差でポジションは4番手となってしまったが、まだまだ行ける雰囲気が漂う。調子がいい時の辰也は独特な会話が弾む。多分本人は気がついていないと思うが相当なハイテンションだ。
決勝では圧倒的なタイムでポールポジションを獲得したTSRチームの秋吉選手に付いて行く作戦を練っていた。
俺はと言えばいつもと違い、1台しかないマシンの整備が早い時間に終わるので飲みのスタート時間が早い。(苦笑)とは言え朝のスタート時間は変わらないので結構眠い、飲んでる時には寝たら最後とよく言うが、俺の特技はクイックチャージ、10分も寝ると立ち直るんだ。ところが今回は違った、岡山からの疲れがドッと出て来てて、何としても起きられない。気持ちがあっても身体は正直。(汗)
かくして、鈴鹿の飲み友浩一ちゃんは一人寂しく飲むのである「浩チャンごめんね」
迎えた決勝。辰也には「今日のレースはスタートが命だよ」話しておいた。辰也もその事は充分承知していたが・・・1コーナーを4番手で通過し、前の2台を抜き去った時にはトップは5秒以上前にいた。まあ、良くやったと言っていいかな?辰也が鈴鹿で表彰台なんて、俺の記憶には無い。
レース後再車検場から帰って来たヨシムラの不二雄さんから「ホンダ車は車両規定に違反してると考えるので抗議出した」伝えられた。
俺は「抗議出すのは自由だからいいんじゃない?」答えたけど、要は規則書の記載に関しての見解の相違、考え方の違い。レースは色んな人間が色んな考えでやるから面白い。その考え方に対して、納得しないから抗議を出すと言うのは、レース屋ヨシムラの名前が泣くと思うのは俺だけだろうか?俺はトッププライベーターとして君臨するヨシムラをリスペクトし、目標としていたのに・・・。