Vol.95  鈴鹿8耐パート2

トップ10トライアルで小西がひとつ順位を上げ、9番手スタートで決勝に臨んだ。

スタートは300Kmの時に失敗したので対策を施した成果が出てうまく行った。俺の予想通り、上位の5台は物凄いハイペースで飛ばして行く、俺達は218号車、19号車とセカンドグループで争う事になって行った。予選では一発タイムを決めてもロングディスタンスではそうは行かない。身体の消耗、タイヤの消耗、燃費の問題等など。

今の8耐は、8スティント、7回ピットが標準だ、又それが出来ないチームに優勝の可能性は無いと言って過言ではない。俺達は一回目の小西の燃費に期待していた。例年決勝になると燃費が良くなる傾向にあるからだ、何故だか分からない、必ずそうなるんだ。果たして、1スティントの小西の燃費が良くなった、可能性が出て来た。俺達は巧の燃費で最後の決断をしようと作戦を練った。しかし無情にも巧の燃費は・・・「しょうがない諦めよう」重い空気が漂った、それはそうだ、一生懸命マシン造ってレースを戦う時、俺達に足りない物があるって事を思い知らされた瞬間だったから。最後まで希望を持っていたんだけど無理なものは無理だ、8回ピットで行く決心をした。

レースでは相変わらずセカンドグループの顔ぶれが同じだ、小西も頑張っている。4スティントの巧に代わる頃、にわかに空が暗くなって来た。「雨だ!」誰かが怒鳴ってた、俺達に迷っている時間は無かった、そのままスリックタイヤで巧を出した。巧には「絶対自分の判断だけでピットインするな」言って出したが実際状況コースは分からない、ライダーまかせな部分だ。ホームストレートが水浸しになった、しかし西の方角スプーンの方はドライのようにモニターでは見える。
緊張した時間だったが、8ラップ程してたので、(みんながスリックでタイムを落としている今がピットインのチャンスだ、10ラップしてGAS補給すれば足りない分を帳消しに出来る)サインボードでPITインの指示した。入ってきた巧に「コースはどうだ?」聞いたら、ヤッパリ西コースは晴れてドライ路面だと言う。ドライの西コースをレインで走ればどうなるか?答えは分かっている。
チーフの堀尾も、その事は分かっているのでレインに替える気は無い。「巧!どんなにペースを落としてもいい、頑張れ、でも気を付けろ」もう、何を言ってるのか分からない(苦笑)巧はそれから26ラップ見事に走り切った、合計36ラップだ。帰ってきた時、やけに巧が大きく見えた。

もう俺達に燃費のハンデは無い、ガチンコ勝負で行ける!ドタバタのレースであちこちのチームが転倒したり、レインタイヤをチョイスして無駄なピットインをしたりしているので、自然に俺達のポジションが上がって行く、まるでエレベーターに乗っているようだ。

5時間過ぎたら3位までポジションが上がってきた。ピット裏にケンタが遊びに来て「棚から小判だね」???多分ぼた餅と同じ意味で言ってるんだろうけど、いくらオヤジのチームが終わったからって言っても失礼な奴だ。ケンタと言えば面白い事があった、木曜日だったか?メチャクチャに暑かった日「シゲキさ~ん!150円頂戴、喉乾いた」俺はお前の親父か?(苦笑)まあ、藤井もよく言う「シゲキさ~ん!飯喰いに行こう、腹減った」同じだ、ケンタは間違いなく藤井の息子だ。(笑)藤井のDNAを持ったケンタがいればTSRは今後何十年か安泰だろう。

巧の+10ラップがあるので他のチームと約30分ずれてピットインをしている俺達は、最後の詰めにかかった。俺はチームスイートに行き、小西に「残り全部行けるか?」確認した、1時間半約40ラップ+だ。小西は「頑張ります~」頼りになるのは、男!小西。でも、チームスイートから出る時、「社長!」俺はやけに気合の入った声に悪い予感がした。「ギャラUPで!」ヤッパリな。(苦笑)

俺達の‘08鈴鹿8耐が終わった。チーム全員で獲得した表彰台だった、去年レースが終わって飲んだビールが不味かったのを覚えているが、今年のビールはほろ苦くも、えも言えぬ味がした。