Vol.10  全日本開幕!

4月に入って、いよいよ全日本選手権が開幕した。
開幕戦の美祢は3年振りの全日本で、レース展開が読みにくい状況だった。
美祢のコースの特徴は、ハードブレ―キングと滑りやすい路面で、気温が下がれば摩擦係数も極端に下がる。
4月上旬の美祢はまだ寒く、思った通りグリップは低かった。そんな状況の中でもライダー達は果敢にコースを攻めて行く。ウチのライダーも例外では無く、見ていて気持ちの悪い位のマシンの挙動だった。
小西は前週のテストで転倒した怪我が癒えず今回は欠場、安田と周平は元気にコースを走り回る。
決勝日の天候は不順で、600の決勝スタート前に雨が降り始め、各チームはタイヤの選択に苦慮する。
俺たちは路面が乾くことを想定して、ドライタイヤを選択、スタートを待つが後方のライダーがタイヤ交換に手間取りウォームUPスタートが出来ない。
結局スタート進行がやり直され、一旦PITに戻り再度グリッドに着き直した頃には完全なDRY路面になっていたが、雨のせいか路面温度が上がらず序盤は我慢のレースになった。TOPは徳留選手で、ここ、美祢を得意としているので追いつかなかった。それでも不慣れな美祢で貴重な2位を獲得した安田は順調に成長していることの証明になった。
600のスタート遅れが響き、最終レースの250が行われる頃は雨も本降り、あたりは暗くなって来た頃にスタート。周平はチョイスしたタイヤがまったくグリップせず、周平曰く「転ばないように走るだけで精一杯でした」まったくレースは気を抜けない。
それでも手堅く2位GETは、実力の証明ではあるが全戦優勝を目指している周平にとっては痛い敗北だ。

今回のレースでは600のスタート進行に始まり、後のレースに多大な影響が出てしまった。JSBのレース中には、降り出した雨に赤旗の対応が遅れ多数の転倒者がでた為、参加チームの関係者が対応のまずさに立腹して主催者に抗議する場面もあった。
俺達は命を賭けてレースに参加している訳で、主催者にも運営を優先するより安全を先んじる勇気が欲しいと思ったレースだった。
そんなレースが終わったのは、日も暮れかかった6時頃慌てて空港に向かった。俺はそんなこともあろうかと思い、予め来る時に調べておいた秘密のルートで宇部空港に到着、レンタカーを返してチェックインしてたら、見慣れたユニフォームのオバサンがニコニコしながら近づいて来た。さっきのレースで優勝したI-FACTRYチームの重鎮!五百部カーチャンだった。何だかとても喜んでいたので、つい、俺も釣られて喜んで握手しちゃった。「周平、悪い!本心じゃなかったけど一応、なっ!」それにしても五百部カーチャン速かったな、
俺の秘密のル―トはなんだったんだ?!

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