名越哲平、全日本最終戦で独走勝利!
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水野 涼
「前回のもてぎ同様、事前テストがない中での一日多いレースウイークとなりました。こういう限られたスケジュールになると、スタートが良ければ良い流れになりますが逆に、出だしが良くないとなかなか修正できずにセッションがどんどん進んでしまうことになります。今回の自分は残念ながら後者の方になってしまい、トラブルなども抱えながらのウイークのスタートになってしまいました。予選になってやっと普通の状態に走るようにはなったけど、木、金という二日間の遅れから、予選が自分にとってのFP1になってしまい、レース1、レース2ともにその遅れが明確な形となってリザルトに出てしまいました。トラブルはだれも出したくて出ちゃうものではないし、仕方がないものではりあすが、そういうことを起こしてしまった自分にも責任があると思うし、最終戦になにもできない形で終わるのは悔しいですね。今シーズン、自分の走りがしっかりとできず、やりきれない形のシーズンだったので、悔しい1年になりました。でもそんな中でも今年からHRCのテストをやらせてもらえるようになり、そのテストをする経験がスキルアップ以上にどうやればチームを動かせるのか、どうやればバイクをもっと良くしていけるのかということをすごく学ぶことができました。その経験をさせてもらえたのは、自分にとってとても良い経験になりました。今年1年、苦しいシーズンだったけど、いちライダーとして実のある1年になりましたそれが結果に結びつけられなかったのは悔しいけど、この経験が今後に生きてくると思うので、それを来年、結果で恩返ししたいと思います。」
名越哲平
「オートポリスから流れがすごく良く、もてぎもしっかり走れてそのベースがあったので、このレースウイークは最初からすんなり走れました。でも一発のタイムはあったけど、アベレージ的には刻めず、そこは不安がありました。予選はもっとタイムが出ると思ったのですが出せず、決勝では似たようなタイムが出たからマシンをさらに詰めれば、もっと良いタイムが出たと思います。金曜の午後にレースラップをやったのですが、そのデータと予選はレースラップまでは行かなかったけど限られた時間の中で連続相にトライし、チームがそれを比較してマシンのセットを考えてくれ、そのセットで走った決勝朝フリーの感触がすごく良かったので、そこで良いセットが見付けられたのが大きかったですね。このフリー走行後は、普通に走れば勝てるという自信ができました。決勝はスタートこそ出遅れたけど、1周目でトップに出て自分のペースに持っていこうと思ったので積極的に行きました。デグナーで1台抜こうとしたら割とスペースもあって、スリップも聞いてスピードが出ていたので、入ったら2台抜けてトップに出ることができました。そこからはもてぎ同様、付いてきたら冷静に対処しよう、来ないから自分のペースで行こうと考え、走りました。走ってるときは長く感じたけど、終わってみれば楽しかったですね。チャンピオンが獲れなかったのは開幕戦の失敗が大きかったですが、でもあれがあったからこそ、このレベルで今、走ることができているという面もあると思います。タイヤのインフォメーションとかを感じながら、今どれくらいのリスクを背負っているのを明確に把握しながら走れているので、それはあの転倒があって勉強できたからだと思います。」
榎戸育寛
「もてぎからの流れがベースとしてあったので、セッティングも前回と同じようなセットで初日はスタートしました。でもなかなか詰め切れず終わってしまい、金曜日に大幅変更し、FP3は問題なかったのですが、FP4はライディングがうまくいかなくてつまずき、タイムを上げ切れずに終わってしまいました。その状態で予選に臨んだのですが、走り出しからリズムが掴め、なんとか9秒台へ入れ留ことができました。状態も悪くなく、ベースの持ちタイムをそこで作ることができ、決勝朝のフリー走行でさらに大きくセットを変えたところ、それが予想以上に良い方向に進み、中古タイヤでも予選タイムを超えることができました。その状態で決勝に臨んだのですが、やはりそこまでの持ちタイムが良くなく、1周目で前と離れてしまい、できたギャップを埋めきれずに終わってしまいました。今年は開幕前に大きなケガをしてしまい、SUGO、オートポリスと手探り状態で走らなければいけない状況となり、もてぎから徐々に良くはなっていったのですが、それでも雨で思うようにセットアップを進められず、最終戦になってやっと適応できていない部分が認識できたような状況になってしまいました。でも問題点は明確になったので、そこにフォーカスして来年の開幕戦までにしっかりと準備をしていきたいと思います。苦しい中でもしっかりとレースを戦えたのはひとえにチームの皆さんの支えがあってだと痛感しています。来年は結果で恩返しできるよう、今から開幕戦に向けて準備していきます。」
埜口遙希
「鈴鹿は他のコースよりも知っているし、もてぎのベースからスタートし、1本目は9番手。2本目、3本目と13,4番手と少し苦しみましたが、これはタイヤを新品にするタイミングとが周りと違うことでもあり、そんな中でセットアップを積み上げていくことができていました。今回良かったのは、チームと話をして、バイクで助ける部分を作るけど、ライダー側でもやらないと行けない部分があるというディスカッションをチームスタッフとできていたことです。ドライのセッションが4本あり、その中でセットアップを積み重ねることができ、FP4で新品入れてアタックしてこのセッションでは3番手になれました。フィーリングは悪くなかったし、予選でポールもほしかったし結果が欲しかったのでねらっていましたが、ある意味ねらいすぎで失敗してしまいました。2段階、3段階のステップを一気に超えようとしたところで失敗してしまい、12番手に終わってしまったので、チームの皆さんには申し訳なかったです。決勝朝のウォームアップでは予選で感じたところを対応してもらい、決勝に向けてさらにちょっとだけ微調整してもらったらかなりフィーリングが良くなったので、1周目からどんなセットだろうとタイヤが良いうちに前に出ようと思って飛び出したら、思っていたとおり序盤から前に出ることができ、ペース自体も序盤から上げることができ、かなり良い手応えがありました。そこで赤旗になってしまいました。2ヒート目もいけると思って積極的に走り、少しトップから離されたけど、まだチャンスがあると感じていたので、ここからもう一回組み立てだと思ったところでエンジントラブルでリタイヤになってしまいました。自分的には最終戦でなんとしても優勝争いに加わりたいと考えていて、前半戦はウエットが多くてセットが進められなかったけど、後半に入ってもてぎ、今回の鈴鹿とドライが多くなり、ここまで走れるように教えてくれたメカニック、ショーワの皆さん、チーフメカニック、会長始め、皆さんが協力して乗りやすいバイクにしてくれて、最後に自分から前に行こうとするレースができ、とてもありがたかったです。序盤はうまくいかずに苦しんだけど、最後まで諦めずに教えてくれ、しっかりサポートしてくれたチームの皆さんに感謝しています。ありがとうございました。」
本田重樹監督
「ST600の埜口は四日間のレースウイークの間で著しく成長してくれて、レースが非常に楽しみでした。予選の結果も良く、レースも序盤から調子よく走ることができ、赤旗中断になってしまったけど再スタートでもトップグループに加わりました。赤旗中断後のレース序盤早々にエンジンにトラブルが発生してしまい、リタイヤになったのは非常に残念でした。でもそこまでのパフォーマンスは今年1年苦労して積み重ねてきたものを集約する形として表現できたので、来年に繋がります。来年がとても楽しみになりました。ST1000の榎戸に関しては、今年ケガの影響でバイクに乗れない持期が長くなり、セットアップに自信が持てず、最後までそれが響いてしまいました。今回のレースウイークに関してはそういう足りない部分をイチから積み上げていったのですが、最終的な順位的には、彼の持っているポテンシャルから考えてみるとちょっと物足りなかった感じですね。もっと前でゴールできる力があるのに、それができませんでした。他のライダーはみんな完成した形で最終戦に臨むことができているのだけれど、榎戸はそれができず、マシンをセットアップしきれずにレースに臨まなければ行けなかったのは苦しかったところです。来年に関してはそういうことがないよう、レースウイークでしっかりセットアップを続け、さらにシーズン通してマシンのレベルアップができるよう努めてもらえれば必ず良い結果が得られるようになると思います。名越はシーズン後半になってすごくマシンをまとめるのが上手になりました。今回のレースウイークもアベレージタイムが良く、予選では唯一の8秒台に入れ、レースでも8秒台ペースで走り、独走優勝できました。開幕戦で転倒してノーポイントだったというのが最後まで響いて、チャンピオンを取れるくらいのパフォーマンスを見せたのにそれが取れなかったのはちょっと残念。ただ、名越に関しては十分及第点を与えられるので、来年はさらにステップアップして良い走りをしてほしいですね。JSB100の水野に関してはレース1、レース2とも消化不良の状態で終わってしまいました。マシンが水野の技術に対して少し足りない状況でした。マシンを仕上げきれなかったのが悔やまれます。もうちょっと高いレベルにマシンを仕上げられれば、さらに上を狙えたはずで、少なくともトップグループに離されるようなレースにはならなかったと思います。でもそれも限られた時間の中で精一杯やった結果なので、今後、水野がどんなフィールドでもトップ争いできるようになれば良いですね。今年は短いシーズンになってしまいましたが、たくさんの応援をありがとうございました。」
堀尾勇治チーフメカニック
「JSB1000はシーズン終盤に来ても新型CBRの開発途上にあり、水野のポテンシャルを出し切れずにいます。ホンダ勢はどのチームも上を目指しいろいろトライしている中で、うちはそこを打ち破るべくこの最終戦に新たなトライを持ち込んみました。でも事前テストがないというスケジュールのため、それは現場でセットアップしないといけない状況でした。新たなトライは現状のネガを救うためのもので、良かれと思って取り組んだものだったのですが、残念ながら時間が無くて詰め切れませんでした。とは言え、そういうトライは続けていかないと、現状のままで戦っていても目の前に立ちはだかっている山を乗り越えることはできません。でもレース結果的には5位と4位。この結果というのを覆して去年のようなリザルトを残していくにはまだまだ完成度として足りていません。現場でレースをすると課題や必要は物が明確になりましたので、しっかりと準備をして取り組んでいきたいと思います。ST600の埜口はここまで、時折速さを見せましたが、なかなかトップグループにはたどり着くことができずにいました。その流れの中、前回のもてぎでは雨の予選で2番手を獲得し、徐々に600にアジャストし始めたところで今回の最終戦鈴鹿となりました。ここ鈴鹿はスピードを必要とするコースで、彼の持っているスピードがコースに徐々にアジャストしてきて、金曜日のフリー走行では12秒台を記録。予選はすこし欲を出しすぎたようで、実力を出し切れずに終わってしまいました。赤旗になったりして大変な決勝になりましたが、その中でもトップグループに付いていき、あわよくば、というレースを見せました。トラブルの原因はこれから究明しますが、希望が見えるところで終わったのは良かったですね。ST1000の名越はオートポリス、もてぎと得意サーキットが続き、そういうところで結果を出し始めていたし、シーズンオフにJSBのテストをしたり8耐にも出ていてコースは熟知しているので、勝つという強い意志を持ってレースウイークに乗り込みました。チャンピオンは相手次第でこちらとしてはどうしようもないので、とにかく勝てるレースをしようとそれだけに集中しました。その通りに強いレースをしました。それができるというのはひとえに、今年の彼の成長です。ホンダのエースを目指してさらに頑張ってほしいですね。榎戸は前回、セカンドグループの後ろでゴールして今回はトラブルがないようメカも集中してウイークを進めました。ここ鈴鹿ではテストで大転倒をして痛い思いをしてることから、メンタル的に厳しい部分はあったと思いますが、それでも一歩ずつできることをやっていこうとトライし、決勝では残念ながら前のグループに加われずに終わりましたが、名越と開いた差も一歩ずつ詰め、J-GP2のときには名越に勝ったレースもあるわけですし、そのポテンシャルを信じて目の前の課題をクリアしてほしいですね。1年間、ありがとうございました。」