【COLUMN】Vol.271 2018鈴鹿8耐

28800分の180で終わってしまった。

8時間耐久は、480分、28800秒。俺は8時間を秒数に置き換えるのが常なんだ。

今年の8耐は180秒ほどで終わってしまった。実際には5時間近くまで走って、順位も15位ほどまで追い上げていたが、トップとは5ラップ以上の差が付き、俺達が望んでいた優勝はおろか表彰台すら絶望的になっていた。

レースは諦めたら終わり、俺達は最後まで望みを捨てずに闘っていたが、今年も俺達には足りないモノがあったのだろう、何と二度目の転倒を喫してしまった、それでもピットまで帰って来てくれれば俺達は諦めずに闘っただろう、しかし転倒した水野は左腕をバッキリ骨折、再びマシンに跨ることが出来なかった。

最初に転倒したランディは右手の小指を欠損し、水野は腕。仮にマシンとライダーがピットに帰って来ても、残りの3時間をドミニク一人で闘うのは無理があっただろう。

2018年の8耐は終わってしまった。あっさりしたモンだ、去年から準備していたつもりだったが、アッという間に終わってしまう。レースって怖いよな(何を今更?)(苦笑)

2004年から本格参戦した鈴鹿8耐、参戦2年目3年目と連続で表彰台に上がり、2010年には頂点に立ち、13・14年と連覇。その後、俺達のチームで闘ったライダー達は他のメーカーやチームに移動。今年の上位チームには、もれなくハルクプロで優勝経験のあるライダー達が揃っていた。(優勝経験のあるライダーは強い、当たり前だが速い)

今年のレーススタート前、ライダーに「転倒はダメ、完走することが大事」言うのを忘れた、ライダーだって転倒は嫌だし、ケガするのはもっと嫌な事なのは百も承知。仮に俺がスタート前に注意したからと言ってどれほどの効果があるか疑問だけどね。

8耐の難しいところは、スピードと安定性のバランス。今年の8耐は、正にその二つが求められるレースだった。一人が欠けても、キッチリ優勝したヤマハチーム。走行後ピット裏で出くわしたマイケル、一言目に「涼は大丈夫か?」走り終わったばかりでこの言葉、余裕が違う、まあ、マイケルの人柄もあるけどね。

俺達にとって厳しい結果しかない今年の8耐だったが、巧やタカが2位になり、藤井のTSRチームがEWCの年間チャンピオンになった。たった一回の鈴鹿すら失敗した俺達からすれば、シリーズチャンピオンを獲得したTSRチームはすごい、心からおめでとうと言いたい。

俺は常々、レースは準備8割現場2割と考えている。今年に関しては準備の段階で5割くらいだったかな?スピードの部分では何とかなったが、レースを闘うセッティング、安定性に関しては仕上げ切れなかった。

上手く行かなかった原因を究明し、来年に向けて準備を始めなくては。

俺達は絶対に諦めない。