Vol.264 2017シーズン終了
2017シーズン終了
鈴鹿のMFJ-GPで今シーズンの全日本の日程が終了した。
俺達は今年、MFJ-CUPのJP250クラスに国内ライセンスの上原大輝を走らせた。上原は小型軽量ライダーで、ウチの中では一応、巧の次に年上になる。そうは言っても二十歳だけどね。ところがウチには哲平や涼がいる。コイツ等は上原より年下だけどハルクでは先輩面しているんだ(笑)。
その上原が並み居る国際ライダーを相手に、JP250クラスで暴れてくれた。総合ポイント制度は無いがブッチギリで総合トップ。もちろん年間チャンピオン獲得。いつもニコニコしていてとても強そうにみえないが、レースでは非凡なところを見せる。
来年は全日本にステップアップしてキレた走りを見せれば“先輩”達も少しは大人しくなるかも(笑)。
先輩その1 名越哲平は今年ARRCのSS600と国内のST600を掛持ちして走ったが、どうもキレが無かった。本人曰く「マシン、タイヤの違いに対応出来なかった」そうだが、そんな事言ってるから両方ダメなんだよ。それならどちらかに傾倒して結果出せれば良かったな。先日、以前の先生である中野真矢とも話をしてその話が出た。中野は「タイヤが違ってもマシンの能力を引き出すのは同じだと思うんですがね」と言ってた。まあ、それが出来なかったからこその今年の結果なんだけどね。最後のARRCブリラムでキレた走りを見せてもらいたいモンだ。哲平の来年は未定(考え中)。
先輩その2 水野涼は、及第点。最終戦の転倒は致し方ないね。チャンピオンが決まった後のレース、カッコ付けの涼はみじめな負け方をしたくないので果敢に攻めた。負けたくない一心だったのだろう。
今年の涼は可哀想だったな。俺にはケツを叩かれるのでセッティングを詰めて攻めたいところだが、今年一年思うようなテストが出来ず、フラストレーションがたまっていただろうな。それは担当していた光太郎も同じだった。今年KALEXで参戦していたエ○○ドの潤沢に用意された“黒いハード”が羨ましかったみたいだ。たまたま上手く合った時は良かったが、最終戦は可哀想だったな。今年の涼を物語っていた。
若いライダーを育てるにはなるべく野放しで伸ばしてやらないと、ストッパーを付けたらライダーの成長度合にもストッパーが掛かる。来年は思う存分走れる環境を作ってやりたいな。今年我慢させた分を取り返さないと、折角の逸材だから。
大先輩その3 巧もウチでは“大先輩”になってしまった。今年は海外のレースも経験し、走りの引き出しも増えた。長い事掛かって念願の年間チャンピオンも獲得した巧。8耐こそ逃したが、明らかにスキルはあがっているのが分かる。本人の自覚も「俺はチャンピオンになる」であり、正にその通りになった。ライダーの“旬”は短いし、その時のタイミングもある。巧はJSBに上がった2年目から3年目がチャンスだったが、そのチャンスを取り逃がしてからが長かった。
バイクレースにはハードが必要なのは今更言うまでも無い。一つのマシンが強ければ別のメーカーがそれを追い掛け追い抜く。その繰り返し。ライダーはその渦中に巻き込まれるので、タイミングは重要なんだ。
巧はその類い稀な精神力でそのチャンスを待ち、今年引き寄せた。「良かったね、巧!」
来年の巧が、どんな環境でレースをやるか?これから考えてあげなければならないな。長い事辛抱させてきたからな、出来るだけ良い環境を与えてあげたい。まあ、近いウチにお知らせ出来るでしょう。
今年、ハルク・プロは参戦4クラスで3クラスのチャンピオン獲得。サポートしているARRCアストラのAP250、ブンシュウのSS600両方共可能性がある。結構頑張ったよな。ブンシュウホンダなんか俺達と始めてから一度も落とす事無くだからね。今年も達成して欲しいモンだし、アストラにはCBR250RRをチャンピオンに導いて井沼社長の男を上げたいね。
まあ、ナンダカンダ言っても「2017年シーズンは良かったな」あと一戦、ブリラムを終えてからそう言いたいモンだ。