Vol.258 リベンジに燃える8耐近し。

7月に入ってから一気に8耐モードになってきた。一回目の特別走行に今年のライダーが全員揃うという珍しいパターンになった。

全日本のオートポリスではトラブルが出てしまいレースを失ったので又、一からすべてを見直しての鈴鹿入り。

 ジャック・ミラーは初めての8耐、初めてのマシン、初めての鈴鹿、初めてのチーム。始めてづくしの中で、そのポテンシャルや性格、本人のスタイルを見極めなければならない。すぐに分かった事は、バイクに乗る事が大好きなヤツなんだな、という事。

 考えてみればみんなそうだったな。今年チームアジアの監督はブンシュウホンダのズルヘルミー、ヤツ曰く「8耐はハルク・プロが一杯だね、涼、哲平、レオン、マイケルだってハルクだったし、僕たちチームアジアやアズランもそう、全員ハルク学校の生徒だね」()

関わった奴等全員バイクレースが好きな奴等。

 ジャックには「とにかく転ぶな、お前がどんなに速くても転んだら全てがお終いなんだ」走る前にしつこく助言、奴は「OK、ダイジョウブ」日本語?で返しやがった。実際転倒したのはノーマークだったタカアキ、俺は「頼むよ、タカはノーマークだったのに」本人に改めてアドバイス。

当のジャックは最終シケインで何度もオーバーランしたが転びはしなかった。後でその事を注意したら、「僕は転んでないよ」確かに。(苦笑)

 MOTO-GPでの転倒の多さやその言動が気になっていたが、付き合ってみれば可愛いヤツだ。俺がいつも見ているポイントで、ピットインの際にピースサイン送ってくる反面、通りすがりにいきなりボディブローする悪ガキだが、どこか憎めない。今年の8耐はこの悪ガキがうちのキーマンになるだろうな、まだまだ借りてきた猫状態だが本領を発揮した時には楽しみでもある。

 タカは古巣のハルクに帰ってきて何の違和感も無い行動パターンを実践している。

とにかく重いマシンに慣れる事で少しずつアベレージタイムを上げてきているので、本番までには完璧に仕上げてくれると信じている。(タカは俺達が2010年に8耐優勝した時の第三ライダーで、決勝は走らなかったが記録上の最年少優勝記録を持っている)

 ウチのエース巧は今年こそはリベンジと燃えている、マシンのセットアップも厳しい注文を付け、少しでも合わないと「フィーリングが、このセットに可能性が感じられない」寡黙な中に強い意志を感じる。

毎年ホントに頑張る巧に、今年は満足感のあるマシンをプレゼントしたいし、その事が出来れば自ずと結果も付いてくるだろう。

 来週が最後のテスト機会で、その翌週には泣いても笑っても本番が控えている。他のどんな奴等よりもバイクに乗る事が好きな巧、但し楽しく乗れるバイクに限定されるが。

 巧を頭に今年の俺達の戦いの火蓋が切られるのはもうすぐそこまで来ている。