Vol.36  鈴鹿300Kmその2

耐久レースでピットインするとロスするタイムがある、通常のタイムより約1分。俺達はこの60秒に賭けていた。
レースの終了は300Kmを走った時、鈴鹿52周だ。最大ワンタンクで走れるのは28周+?、あくまでドライで全開で走った時の燃費だが。
タイムが落ちて我慢出来ずにピットインするチームが続出する中俺達だけがレインタイヤで走行を続けていた、残り28周で安田にチェンジするために。本当に長い5周だった、小西にとっても俺達ピットにいるスタッ
フにとっても。スリックタイヤで走りはじめたチームは俺達よりも1周10秒程速いタイムで走っていたから、5周は貯金を使い果たすギリギリの周回数だった、本当はもう10秒あるのだが、アウトラップ(コースインした周の事)が通常より遅くなるので実質的にほとんどリードは無い状況だった。だけど小西は頑張った、ホントに良く耐えた、ピットインして頑張ったレインタイヤをスリックに替え、GAS給油を15秒程で済ませ安田がコース
イン!ここからはガチンコ勝負だ。「行け―ヤス!」「気合ダー!」
ピットからみんなで声援を送った。コース上ではTSRチームが見かけ上、TOPを走行していたが、俺は疑問を持っていた。俺達ですら28周なのに、TSRチームがそれより多い周回数を走れるとは思わなかったからだ。(事実、伊藤はとてつもなく速いペースで周回を重ねていた)もちろん耐久経験の豊富なTSRだから綿密な計算の上かもしれないが・・・でも俺達にはどうすることも出来ない、すでにヤスはコース上で戦っているのだ。俺達がマーク
していたのは7番車と12番車、HRCチームとヨシムラチームである!凄いなー、「耐久常連チームと常勝チームが相手なんだ」なんだか凄くワクワクしてた。
L2のデグナーで778番車がストップした。
俺は喜ぶスタッフをたしなめながら複雑な気持ちだったよ。
TSR藤井はレースを良く知っているし勉強もしている。酒も飲むしゴルフもやるから考え方や戦略も、ある程度解る。だから戦っていても面白い。その藤井が・・・レースは怖い!あの綿密な計画を立てて参戦しているチームを狂わせる。でも良かったな藤井、8耐本番じゃなくて、本番では絶対同じ事はしないだろうから・・・・。
最後は意地を見せたユーキがトップでチェッカーを受けた、俺達もヤスの気合でヨシムラチームを振り切り、2位でゴールだった。
本当に小西は嬉しそうだった、久し振りに見た笑顔だ。ヤスも責任を果たして「ホッ」とした様子だった。
難しいレースだったけど面白いレースだったな、次の本番までにはテストもたくさんやって、問題を全部洗い出して。イヤその前に俺はミニモト4耐だ。後5秒は縮めないと。最近PPPにも行ってないしなー。(苦笑)