Vol.39 全日本125その2
その1からのつづき
俺も以前は125に傾倒してた時期があったから125のレースの事は良く分かる。RS125のワンメークレースで、ほとんどのマシンがSTD。そんな時代に俺は125クラスに参戦し世界との差を埋めるべくチューニングパーツの開発に勤しんだ。
その後自らも世界へ出て行き、自社開発のマシンを走らせた。当時は、マシンチューニングはライダーのレベルアップに寄与したと思っている。事実、当時(90年代初頭)のライダーは世界の頂点でレースが出来る程、レベルが高くなっていった。
今の全日本にそれが当てはまるとは言い難い、マシンの性能は間違いなく上がっているのにレベルはどんどん下がっているのだ。
マシンにある程度のお金を掛けられるライダーが自分の技術、体力を補うために速くしているだけなのだ、これじゃあ本末転倒である。俺は今の全日本のレベルがどんなに低いものかを知らせたくて貴晶にKITを与えたんだ、決してただ勝ちたい為のものじゃないんだな。
偉そうに言ってるように見えるかもしれないけど、俺たちはそういった活動を長い事やって来た上で提言していることを分かって欲しい。
マシンやパーツの開発ばかりに気を取られている間に自分達のフィールドがあらぬ方向に行ってしまった。俺は反省して来年からは新しい方向で全日本に参戦するつもりでいる。基本的な技術をマスターし、レースの本質的な部分にメスを入れた活動を実践するつもりだ、そうでないと小金を持った年寄りのミニバイクレースと同じ現状のGP125クラスを打破出来ない。
先日TSRの藤井が同じような活動を考えているようだという情報を得た。藤井は言わずと知れた世界のTSR代表である、俺達が世界へ出る時、いち早く出て行って結果を残したTSRはその後も最後まで世界のフィールドで頑張っていた。
その藤井が最近息子のケンタを通じて知り合った若い少年達に入れ込んでるようだ、いい事だ、やれやれ!藤井や俺達が他に気を取られている間にあらぬ方向に行ってしまったGP125クラスを、元の健全な姿に戻すために。
坂井君ゴメンね。全日本ロードレース選手権に携る者の一人として、違う観点で参戦しているチームもあるという事を知らせたかっただけなんだ。もちろん現状のレースの中で盛上げる努力は惜しまないで欲しいし、俺達だって負けないよ。
貴晶だけじゃなくそれに続くライダーを一杯出して全日本を活性化させたいんだ。