Vol.44  マレーシア続編!

俺はサーキットを後にした。
空港に向かうにはタクシーかレンタカーが便利だが、そんなもの用意していない。俺は(正確には俺達)サーキットの職員を買収!して空港まで行った。この白タクは、今回も同行した忠さんが、池さんと二人で買収したのだ。俺達3人組はめでたく20リンギットで空港まで着いた。でも池さんは「それじゃ可哀相だ。50は払う」
池さん!そうやって物価は上がっていくの!次からこのオッサンは職場放棄してアルバイトが儲かる事に味をしめ、どんどん値段が上がるんだ。来年マレーシアGPのパドックに怪しい白タクがいたら気を付けて値段聞いて、もし50リンギット以上だったらそれは池さんのせいである。(苦笑)。

俺達3人組は飛行機に乗ってマレーシア領コタ・キナバルへと向かった。コタ・キナバルはボルネオの北にあるマレーシアの飛び地みたいなもので、山地のキナバル山は東南アジア随一の高さで標高4000mを越す!・・・と池さんが力説する。
俺はなんで池さんが山の説明をするのか分からない。
山なんて日本にだって一杯あるし、霊峰富士に至っては世界遺産にこそなれないが、その姿の美しさは日本の誇りでさえある。
「富士山に比べりゃキナバル山なんて」
俺は別にキナバル山に恨みがあるわけでもなんでもないが、(せっかくこんなに暖かい所に来たのに)山なんて登りたく無いだけだ。その矛先がキナバル山なだけである(そう!池さんは登る気満々なんだ)。
忠さんがポツンと一言。
「おれはオラウンターに会いたくなった、だって・・・似てない?」
俺は頭の中でTVとかで見たオラウンターの姿形を思い出した。
「確かに!」
つい答えてしまった。二人の目線が池さんに向いていたのは偶然だった(笑)。

俺達は意思決定すれば仕事は早い!
「明日は6時に起きてキナバル山だー!」
俺には拭えない素朴な疑問があった。
ボルネオにオラウンターがいるのは聞いた事があるけど、マレーシアにいる?無駄な努力は避けて来た実績から、俺は観光デスクのおねーちゃんに聞いてみた。答えは「ノー」ボルネオは南の方角、飛行機で4時間位掛かるらしい。しょうがないので忠さんにはオラウンターのぬいぐるみで我慢してもらった。
それからゆっくり飲み始めた3人が、翌朝6時に起きられる訳が無い事ぐらい、俺達以外なら誰だって分かるはずだ。
結局は9時頃に起きたのでキナバル山を諦め、島へチャーターボートで向かい、一日中ノンビリした。
良かった、良かった。
ところが池さんは諦めてなかった。
「明日は行くよ!」
マジで?
翌朝タクシーをチャーターしてキナバル山へ向かう3人組・・・・・。
延々と山道を登り、3時間程でキナバル山の登山口に着いた。標高約2000mもあり、寒い!しかも回りは雲で何も見えない。もはやそこにいる理由は一つもなかった。
昼過ぎにはホテルに戻り、プールサイドでビールを飲む3人組。
ヤッパリ僕達にはこの方が似合うね。