Vol.46  全日本選手権 岡山

全日本ロードレース選手権R6岡山に行った。
毎年はっきりしない天候の岡山だが、今年は誰の行いがいいのか、ウイ―ク中ずーっと好天に恵まれた。
今回も怪我が癒えない小西は休みで、125のタカとラタポン、600のヤスと森の4名体制で臨んだ。
今回の結果次第で今年のチャンピオンが決まるタカは、本人曰く「緊張してませんよ」と言いながら、やっぱりタカも人の子(そりゃーそうだ、いつも父ちゃん母ちゃんが来てるもんな)だった。緊張からか、いつもの冴えた走りは影を潜め何とか無難にこなすだけの様は、逆にホッとするくらいだ。
レースでは富沢とバトルになったが、最後には何とか抜け出してタカに取っての第一ステップである全日本チャンピオンを決めた。
タカは現在14歳だから、最年少の全日本チャンピオンだ。
俺はウイニングランを終えて帰って来るタカに、チャンピオンTシャツを振って迎えたよ。このところ何回か経験している場面だけど、何度やっても胸が熱くなる。何だか分からないけど目頭が熱くなるんだ。他の事では滅多に涙は出ないけど(鬼の目に何とか言われるからな)色んな事が頭を駆け巡って涙モードスィッチがONになるんだと思うな。そんな状況のときに俺がタカの母さん父ちゃんなんかを見たりしたら大変だよ。完全にやられちゃうよな。
でもその時沈着冷静だったのがタカ。普段は大人しそうな雰囲気だが、ホントは凄くホットな少年なのを知っているだけに意外だったな。実はタカはレースの内容に満足が行かず素直に喜べないみたいだった。
やっぱり日本人だな。喜怒哀楽を表に出さず内にしまっておくのが美徳みたいな・・・。
でも俺は大キライだよそんなの。
小さいときから頑張って、やっとチャンピオンになって。ふつー、喜ぶだろう!(笑)とにかく14歳の少年は全日本の頂点に立った。

俺は密かに別の感慨にふけっていた。それはハルク・プロ全日本通算40勝に到達したからだ。長い事やってれば当たり前だけどひとつの節目の数字に何故か日本人は感慨みたいなものを抱くよ。

岡山を後にして俺達はそのまま鈴鹿に向かった。最終戦のテストをするためだった。厳しい日程だが移動のロスを考えたらベストなのだ。
他のチームも頑張って翌日には到着してきた。
そして俺達は今回、別の目的もあった。あの新型GP-MONO、GPMR250Xのテストを行う目的があったのだ。
今回はタカにも乗せてポテンシャルを計ってみようと目論んでいた。果たして、新型は快調にテストをこなし、タカがタイムアタック!ところがナント!タカは張り切りすぎてシケインでスリップダウン。それでも29秒台なので良かった良かった。
帰りはあのBBのスペシャルトランスポーターで帰ってきた。
その乗り心地に童心に返ってはしゃぎ回っていたのは言うまでも無い。