2010年全日本ロードレース選手権シリーズ第1戦 第1戦筑波
第1戦筑波
■選手コメント
浦本修充「まだまだマシンのポテンシャルを引き出すレベルに自分が到達していなくて、自分自身にふがいなさを感じています。ですが焦っても仕方ないので、メカさんにいろいろなことを教えてもらいながら、着実にステップアップしていきたいと思っています。この悔しさをバネに、次のレースは頑張ります」
■レースコメント
全日本チャンピオン経験者が全5名のチームのライダー中3人いるということもあり、高い緊張感を抱きながらここまでのテストをこなしてきた浦本。その緊張感から数度の転倒を喫してしまい、本来の速さをなかなか見せられずにいる。今回のレースウイークもその流れの中から抜け出せず、土曜日の予選を迎えてしまった。その結果、1分1秒673というタイムで総合14番手。5列目からのスタートとなった。
何とか決勝は一つでも上を狙いたいところだったが、スタート直後の1コーナー立ち上がりで、内側から転倒したマシンが外側を走る浦本に当たってくる形となり、痛恨の転倒。すぐにマシンを起こして再スタートしたが、順位は最後尾まで落としてしまった。焦りが出てしまいやすい状況の中、浦本は冷静さを取り戻し、22周目にはこのウイーク中の自己ベストを更新する1分1秒176をマーク。18位でチェッカーとなった。
チームコメント「決勝では他車に接触されて転倒してしまうアクシデントに見舞われ、不運な部分もありましたが、予選位置がもう少しよければ違った展開になっていたはずです。予選までの組み立て方の甘さがスタート位置の悪さにつながってしまったのでそのあたりを改善し、次回以降はテストの段階からしっかりとマシンを仕上げ、高いレベルでレースウイークに入れるようにするのが今後の課題です。ただし、転倒後には自己ベストのタイムをマークしていますし、今後に大きな期待が持てるレース内容ではありました」
■選手コメント
中上貴晶「これまで4サイクルのマシンはGP-MONOしか乗ったことがなく、ST600のマシンに乗ることが決まった時点では正直、不安がありました。ですがタイまで走り込みのために遠征のチャンスを与えてくれたりとチームが強力なサポートをしてくれて、それが今回の最大の勝因だと思います。チーム、そしてスポンサーの皆さん、本当にありがとうございます。世界で戦ってきた3年間、なかなか思うような成績が残せずにつらい時期を過ごしてきたのですが、まだまだ自分も出来るということを確認できるレースとなり、チェッカー後のクールダウンでは嬉しくて涙が出てきてしまいました。今年全日本チャンピオンを獲得して再び来年世界に戻るという目標のためにも、最高のスタートを切ることが出来ました。次のレースも勝ちを狙って頑張ります」
小林龍太「テストからもう少しアベレージを上げたかったのですが、なかなかいいセットアップが出来ず、少し苦労してしまいました。ですが決勝日朝のウォームアップ走行でトライしたセットアップが非常に感触がよく、新たな方向性も見えてきたのは大きな収穫です。レースは前の2台がバトルしていて隙が見えたのでそこに入っていったのですが、走行ラインが交錯してしまって接触してしまいました。残念ですが気持ちを切り替え、次のレースで勝てるように頑張ります」
■レースコメント
予選はコースレコードをマークするライダーが続出する中、中上も従来のコースレコードを上回る58秒670を記録して総合5番手の位置を獲得。小林も着実にマシンをセットアップして58秒878のタイムを記録し、11番手となった。レースがスタート。中上はうまいスタートを見せ、オープニングラップを6位でクリア。小林も8位までジャンプアップしてくる。トップグループはやはり海外ブランドのタイヤを装着するライダーが占める中、ブリヂストンタイヤを履く中上と小林は58秒中盤から終盤というハイペースで展開される上位陣の中で、引けをとらない速さを見せる。
レース中盤、上位陣が59秒台へタイムを落とす中、中上は安定して58秒台でラップ。このため、9周目5位、10周目4位と着実にポジションを上げていく。さらに14周目には3位、15周目に2位に上がると、その勢いのまま16周目の第1ヘアピンでトップに出る。先頭に出てもペースの衰えない中上がレースを引っ張る形となり、58秒中盤から終盤でラップ。ゴール時には2位にコンマ9秒差を付け、中上は全日本復帰レースを優勝という最高の形で飾ることとなった。また小林は終盤9位を走り、2台パスして前に出ようとチャレンジしたが他車と接触してしまい転倒リタイヤとなってしまった。
チームコメント「嬉しいの一言です。小林が最終ラップで他車に接触されて転倒というアクシデントはありましたが、それはレースなので仕方ない部分ではあります。対して中上は全日本に復帰して最初のレースで優勝。しかもその内容は、レースのアベレージスピード、レースタイムとすべてにおいていいレースが出来ました。こういうレースがしたくて我々は努力を続けているわけで、本当に嬉しい決勝となりました」
■選手コメント
高橋巧「チームを移籍して、去年のマシンのパッケージングと大幅に違うので少し心配はありましたが、最初のテストからまったく違和感なく乗ることが出来、それが今回のレースを迎えるにあたって大きな自信となっていました。決勝日は気温が下がってしまい、レースペースなど読めない部分はあったのですが、チームが最高のマシンに仕上げてくれたので、自分は走ることに専念することが出来、それがこの結果につながったのだと思います。チームスタッフ、そしてスポンサーの皆さんに感謝したいと思います。第2戦2&4も優勝できるように頑張ります」
小西良輝「まだまだマシンを完全に仕上げ切れていないので、非常にフラストレーションの溜まるレースではありましたが、自分の仕事をしっかりとやりきることに集中し、このレースウイークを走りました。57秒台、決勝は一桁というチームで立てた目標に少し届かなかったのは残念ですが、マシンの秘める可能性の大きさは実感できたので、しっかりとマシンを仕上げていきたいと思います」
■レースコメント
事前テストから好調さを維持する高橋巧だったが、木曜日の特別走行で転倒。打撲程度で済んだはラッキーだった。またJ-GP2クラスは今回、JSB1000クラスと混走となり、小西は高橋と同じレースを走ることとなった。
木曜日の転倒の影響をまったく感じさせず、予選でも高橋はハイペースでラップ。ポールポジションを狙ったが、コンマ1秒差で2位となった。小西は新しいマシンのセットアップを行いながらタイムアタック。総合14番手、クラストップの位置を獲得した。
決勝では絶妙なスタートを決めた高橋がホールショットを奪い、そのままレースを引っ張る展開に持ち込んでいく。小西も得意のスタートを決め、序盤は13位を走行。
3周目に56秒へ入れると、6周目には56秒1までペースを上げる高橋。このペースに付いてこられるのは2番手スタートの亀谷長純選手だけで、トップ争いは二人の一騎打ちとなった。コンマ1秒から5秒という拮抗した展開となったが、ミスのないハイペースでラップする高橋はなかなか突け入る隙を見せない。終盤、周遅れが絡みだすタイミングもあり、ゴール時には1秒ほど開き、高橋がトップでチェッカー。小西も安定してラップを刻み、11位でゴールとなった。
チームコメント「JSB1000クラスは、高橋巧が我々のチームに移籍してきて、昨年の彼の戦いぶりからある程度の成績は見込んでいましたが、しっかりと期待に応える仕事をしてくれました。決勝では見事な戦い方で、彼自身にとって全日本最高峰クラスでの初優勝を遂げることが出来ました。路面温度が低かったため、レースタイムはそれほど速いものではありませんでしたが、昨年のレースタイムと比較してもトップグループを走れるレベルのものなので、高い評価が出来ると思います。今後のレースにますます期待が膨らむ開幕戦となりました。J-GP2クラスの小西に関して、我々はレースウイーク前にこれまでのデータと比較して、レースタイムは57秒台、総合順位一桁という設定をしていましたが、残念ながらほんの少し届きませんでした。ですが、このJ-GP2という新設されたクラスの秘める可能性の高さを感じさせることは出来たと感じているので、それは評価したいと思います。さらにマシンを仕上げ、1台でも多くのJSB1000マシンを食いたいと思います」