2009年全日本ロードレース選手権シリーズ第3戦第3戦オートポリス

第3戦オートポリス

■選手コメント
小西良輝「予選が終わった時点ではどうしようかと途方にくれるほどでした。レースで勝てるマシンをチームが用意してくれていたので、とにかく自分がそのマシンをしっかりとライディングさえすればよかったのですが、走りのリズムが狂ってしまっていました。予選後にチームでミーティングを行い、対策を授けてくれたので決勝日朝のウォームアップ走行で確認。いけるという手応えを感じ、実際にレースでは2周目にトップグループの直後まで付けたので、そこまでは予定通りだったのですが、その勢いを今度はしっかりとコントロールしなければならないのにそのまま行ってしまいました。ですが走りのリズムも取り戻せたので、ノーポイントという代償は痛いですが、後半戦は一気に奪い返します。応援いただいた皆さんの期待に応えられず、申し訳ありません。今後のレースの活躍できっちりとお返ししたいと思います。」

小林龍太「終盤に前を走っていた手島(雄介)選手がスパートして2位からトップに出たので、自分も行こうと思ったのですがうまく2位に出られない間に離されてしまい、そこで一気に集中力が切れてしまいました。ペース的にはトップに出るチャンスをうかがうほどだったので、とても残念です。でも結果的には全日本初表彰台獲得なので、今日は純粋にそれを喜び、優勝の喜びは次の楽しみとしたいと思います。応援、ありがとうございました。」
■レースコメント
金曜日のART合同テストは小西が2番手、小林が3番手と難しいコンディションだったにもかかわらず、高いレベルでの走りが出来ていることを確認できた。明けて予選日となる土曜は朝から晴れ上がり、ドライコンディションでのセッションとなった。しかし気温は19度とそれほど上がらず、テストから10度近く低いコンディションでの予選となった。小林は4周目に1分56秒825のタイムをマーク。このタイムでフロントロー3番手となった。一方の小西は今ひとつタイムが伸びず、2周目に1分57秒406を出した後、そこから短縮できない。何度かピットインしてセッティングを変えるが、結局このタイムを超えることは出来ず、11番手で予選終了となった。明けて日曜は曇り。朝のウォームアップ走行で小西は問題点を確認。解決策もしっかりトライした結果、6番手タイムをマーク。小林もマシンを確認しながら8番手と、確かな手応えを感じながら決勝のスターティンググリッドへマシンを並べることとなった。
レースがスタート。小林はまずまずのスタートを切り、2番手で1コーナーに飛び込むと、さらに前車を交わしてオープニングラップをトップで戻ってくる。得意のスタートダッシュで早めに順位を上げたい小西はその作戦を敢行し、7番手までポジションを上げてメインスタンド前に戻ってくる。2周目に4位まで順位を上げ、さらにトップを追撃しようとしたがスピードが高すぎたようで、第2ヘアピンで痛恨の転倒を喫してしまう。小林は2周目に2位、5周目に3位となった。4位以下は上位3台のペースに付いていけず、トップ争いはこの3台に絞られる。トップグループのペースは1分37秒台。小林にとって難しいペースではなかったが、ラスト4ラップあたりからペースが落ちてしまい、そのまま3位でチェッカーとなった。
チームコメント「小西は、予選での失敗がすべてでした。レース序盤から前に出ようという積極的な気持ちが強く出すぎてしまったようです。リセットして後半戦に賭けたいと思います。また小林は最後まで落ち着いて走り切ることが出来たと思います。」

 

■選手コメント
山口辰也「このチームで全日本のキャリアをスタートさせ、その後、ファクトリーや他のチームでたくさん勉強をさせてもらい、その得たノウハウによる結果でこのチームに恩返ししたいと今年、このチームで走ることが決まってからずっと思っていました。本当は開幕戦でそれを果たしたかったのですが出来ず、やっと第3戦で果たせたのでまずはホッとしました。レースは序盤様子を見て、10周を過ぎたあたりからペースを上げようと考えていたので、後ろが付いてきているのはそれほど気になりませんでした。低い気温になっても対応できるセッティングをチームがしっかりと準備してきてくれていたので、自分は走りに専念するだけでした。厳しい経済状態の中、武蔵精密工業さん始め、スポンサーの皆さん、ハルク・プロの皆さんのおかげでこんなに充実したレースが出来るのは本当にありがたいと思っています。ありがとうございました。大きな自信にもなりました。次もいい結果を残し、皆さんにいい結果を喜んでいただきたいと思います。」
■レースコメント
金曜日のART合同テストは1分51秒518で2番手に付けた山口辰也。チームがさまざまな状況を想定し、用意してきたセッティングデータが功を奏し、16度と事前テストからは考えられないようなコンディションでも不安なくタイムを詰めていくことが出来ていた。土曜日の予選は下位のライダーが切り捨てられていくノックダウン方式が採用され、前日よりは多少気温が上がった19度の中で行われた。山口はファーストクオリファイを1分50秒592で1位、セカンドクオリファイは1分50秒838で1位、サードクオリファイを1分49秒714で1位通過し、見事ポールポジション獲得となった。
曇りとなった決勝日も気温はそれほど上がらず、朝のウォームアップ時で18度。このセッションも山口はただ一人50秒台となる1分50秒730でトップ。決勝への期待がさらに高まっていく。スタート時間が近づくにつれ、太陽が顔を出して暖かくなっていたのだがスタート直前になって厚い雲が空を多い、冷たい風が吹き出した。そうしてレースがスタート。山口は絶妙のスタートを切り、トップで1コーナーへ飛び込む。路面温度が低いことから序盤を慎重に走ろうと決めた山口だが、それでも後続が抜きにかかれるほどのスローペースではなく、逆に5位以降のマシンは離れてしまい、トップグループは4台に絞られる。コンマ3秒から5秒という僅差で山口を追う後続マシン。しかし2位争いをしていた2台が接触し、差は一気に6秒まで離れてしまう。楽になった山口は後ろとの差を確認しながら周回遅れをパスしてラップを重ね、2位に5秒差の独走で今季初優勝。この結果、山口は前半戦をランキングトップで終えることとなった。
チームコメント「今季からJSB1000クラスのライダーを山口辰也に換え、3戦目で優勝することができました。内容的にもパーフェクトで、今後の展開にもチームとして大きな自信を持つことが出来ました。MuSASHi RT ハルク・プロとしても初優勝なので、とても嬉しく思います。これで夏の8耐に向け、弾みを付けることが出来ました。ハルク・プロとしても全日本のトップカテゴリーでの優勝は、全日本51勝目のこれが初となります。そういう意味で、とても感慨深い一日となりました。」