2010年全日本ロードレース選手権シリーズ 第6戦ツインリンクもてぎ  

第6戦ツインリンクもてぎ

■選手コメント
浦本修充「チーム関係 者、スポンサーの皆さん、HRCの皆さんに心からお礼申し上げます。皆さんのバックアップがあり、金曜日に転倒してしまったのですが、まったく問題なくそ の後の走行をすることが出来ました。自分としては転倒でそこまでの勢いがそがれてしまうかちょっと心配で、予選はその予感どおりに今ひとついけませんでし たが、決勝日の朝フリーでとてもマシンがいい仕上がりになっており、これならいけると手応えを感じました。実際に決勝も思い切り走ることができ、結果的に 負けてしまいましたが、久しぶりにレースらしいレースが出来た気がします。皆さんの強力なバックアップにしっかり応えられるよう、最終戦も頑張ります。」

■レースコメント
後半戦になってやっ とチームの雰囲気にもなれ、浦本本来の走りが戻ってきた。前回の岡山国際大会では順位こそ6位で終わったが、トップグループと遜色ないスピードでレースを 走り切り、その勢いのまま今回のレースウイーク入りした。ところが金曜日のART合同テストの1本目で勢いあまって転倒。ライダー、マシンともに問題はな かったが、若い浦本だけに、うまくリカバリーできるかチームに不安が走った。やはり予選は今ひとつ勢いが戻りきれず、8番手で終えた。
ライダーのコメントを元に、決勝日朝のウォームアップ走行でセッティングを進めたところ、ライダーのフィーリングが良く、確かな手応えを感じながら浦本は前向きな気持ちで決勝に臨むことが出来るようになった。
そうしてレースがスタート。絶妙のスタートを決めた浦本は、オープニングラップを終えてメインスタンド前に2位で戻ってくる。4台での激しいトップ争いに なり、その中で浦本はチャンスがあれば前に出ようとトライ。10周目に再びトップでメインスタンド前に戻ってくる。本人もチームも認識している、浦本の身 長の高さから来る重量ハンディを、アグレッシブなコーナーへの突っ込みと高い旋回スピードで補おうという姿勢が、この快走につながっていた。2位でラスト ラップに入った浦本は最終的に3位でチェッカー。前の2台はリザルト上、その差が0.000秒、浦本はそこから0.34秒差という僅差での3位獲得となっ た。

■選手コメント
小林龍太「予選まで流 れは良かったのですが、決勝日は思った以上に気温が上がってしまい、それに対応できず不本意なレースになってしまいました。言い訳ばかりしているようで心 苦しいのですが、しっかり事前テストからマシンを造り上げ、結果で皆さんの応援にお返ししたいと思います。最終戦も全力で頑張ります。」

中 上貴晶「これまでハードタイヤを使ってきたのですが、今回はコンディション的にそれを使うのは難しそうなので、テストしていなかったのですがレースウイー クから初めてソフトタイヤを使ってみました。テスト不足が最後まで足を引っ張り、セットアップがまだまだ足りませんでした。ですがマシンの方向性は見えて きたので、このまま事前テストからマシンを詰め、最終戦はきっちり勝って今シーズンを締めくくりたいと思います。」
■レースコメント
このクラスのトップ チームとしてクラス設立当初から戦ってきたハルク・プロだが、今シーズンは原因不明のトラブルに襲われ、本来の戦いがまったく出来ずにいる。前回の大会は トラブルによる走行不足が結果に出てしまったことから、チームはこのインターバルにマシンを徹底検証。全力を挙げてマシンを組み立ててきた。金曜日の ART合同テストでまたしても小林のマシンにトラブルが発生し、チームには「また?!」という嫌な空気が一瞬漂ったが、軽度なマイナートラブルであり、重 症ではないことでスタッフ全員が安堵した。
実際に今回のレースウイークではトラブルが発生せず、久しぶりにライダーも走ることに専念することが 出来た。しかしここまでのレース、および事前テストでしっかり走りこむことが出来ていない現実は変えがたく、特に季節が変化している状況に対し、タイヤテ ストなどの走行不足の感は否めない。中上はこれまでハードタイヤのみでレースを戦ってきているが、ライバルたちはソフトタイヤのテストも実施済みで、今回 のレースウイークではソフトタイヤを使用してきている。そのため中上は、まだ履いたことのないソフトタイヤをこのレースウイークで使用することを決断し た。
小林も新型のタイヤでまだ十分にこのコースを走行できていないことから、ベースのセットアップからスタート。やはりライバルに対し、ハン ディは感じてしまう。それでも予選では意欲的にアタックし、5番手を獲得。一方の中上はうまくマシンをまとめきれず、19番手と沈んでしまった。
決勝がスタート。うまく飛び出した小林は1周目を4位で戻ってくる。さらにポジションを上げたいところだったが、決勝前に上がった気温の変化に対応しきれ ず、マシンのフィーリングがあまりよくない。そのため、周囲がタイムアップしていくのに対し、小林はうまくラップタイムを上げられない。中上も1周目は 17位までジャンプアップ。しかし小林同様、周回につれてタイムを上げたいところが上げられず、そのためにポジションもアップしていけない。
結 局、小林は7位で、中上は17位でチェッカーとなった。テスト不足で、そのことからレースで思うような走りを見せられないながら、小林は今回の7位獲得 で、ブリヂストンタイヤユーザーの中で最上位となるシリーズランキング6位に付ける。一つでも上のランキングを目指し、最終戦鈴鹿大会に臨む。

■選手コメント
高橋巧「決勝に向けてギャンブルセッティングをしてみたのですが、逆方向に行ってしまいました。ライダーは頑張ってチャレンジしているのですが、なぜかマシンが思うように応えてくれないレースウイークでした。最終戦鈴鹿は8耐で十分に走っているコースなので、セットアップは問題ないと思います。思い切り攻めのレースが出来るよう、事前テストでいい準備をしていきたいと思います。」
■レースコメント
鈴鹿8耐で優勝を果たした高橋巧だが、その後のレースで本来の速さを見せられずにいる。今回の開催サーキットはシーズン前の3月、高橋がチームのマシンを初めてライディングしたコースであり、好タイムをマークしたことから巻き返しには絶好のステージと言える。
ところがゲンのいいはずのこのサーキットでのレースウイークが始まり、走行を開始してもこれまでの流れは変わらない。ライダーは意欲的にコース攻略にトライするが、アクセルを開けてもマシンが思うように前に進まないのだ。
今回の予選はまたしてもノックダウン方式が採られ、高橋は最終のQ3セッションまで進出。6番手となった。
今ひとつフィーリングの良くないマシンを大きく変えようと、決勝日朝のウォームアップ走行を終えてチームスタッフとライダーはミーティング。一か八かの賭けに出た。うまく合えば高橋本来のライディングが出来、大きく順位を上げていくことが可能になるが、外れれば予選順位キープか、それすらも難しくなってしまう。しかし最後まで攻めの姿勢を保ち、最善の努力を続けるのがMuSASHi RT ハルク・プロの戦いの基本スタンスだ。
いよいよレースがスタート。チームスタッフは祈るような気持ちで高橋のラップタイムに注目する。しかしチームの願いはかなえられず逆方向に出てしまったようで、高橋のタイムは上がってこない。オープニングラップを6位でクリアし、ここから順位を上げたいところだが、周回とともにライバルたちがタイムを縮めていくのに対し、高橋のタイムは上がらない。レース終盤になり、上位陣のタイムが大幅に落ちていくが高橋は変わらず。残念ながら順位を変えるまでには至らないが、上位とのギャップを詰めることには成功していた。このまま20周のレースはフィニッシュ。残念ながらランキングトップの座は明け渡すこととなったが、それでもランク1位との差はわずか6点。最終戦は2レースあるため、十分に逆転の可能性がある。火曜日から行われる事前テストでしっかりとマシンを詰め、最終戦も最後まで攻めのレースを展開しようとトライするMuSASHi RT ハルク・プロのクルーだ。

■選手コメント
小西良輝「マシンからのインフォメーションが伝わりにくく、なかなか攻める状態までマシンを持っていくことが出来ませんでした。それでもスリックタイヤ勢の中では最上位でいたいとトライしたのですが、自分のミスでコースから飛び出してしまい、不本意な順位でレースを終えることになってしまいました。マシンをさらに煮詰め、最終戦では勝てるレベルに仕上げていきたいと思います。」
■レースコメント
夏休みを挟んだインターバルを利用して大幅にマシンのモディファイを行ったチームだったが、スリックタイヤに対応できるよう車体側の許容幅を上げようとねらった剛性アップがマシンの状態をライダーに的確にインフォメーションとして伝わりにくい状況となってしまっている。このことから、小西本来の切れのあるライディングがしにくい状況を生んでいる。今回のレースウイークも、このあたりの解決を図るべく、マシンのセットアップを進めていった。
金曜日のART合同テストはタイヤテストに専念。マシン開発とともに意欲的に行っているタイヤ開発作業も、小西とチームはこなした。
土曜の予選はやはり、マシンからのインフォメーションが伝わりにくいという状況は大きく改善できず、4番手と不本意なスターティンググリッドとなってしまった。しかし決勝朝のウォームアップ走行の時間もフルに使いさらにセッティングを進め、レースでは十分戦えるレベルにマシンを仕上げることが出来た。
決勝がスタート。序盤、スリックタイヤを履く小西はタイヤを丁寧に暖めることに専念し、1周目は5位で通過。タイヤの暖まりを確認すると、4周目に4位、 5周目3位、6周目2位と、トップとの差は既に7秒開いてしまっていたが、2位集団の前に出た。ここからタイムを上げてトップを追いたいところだったが、詰めてきたマシン状態の把握の部分がまだ完全ではない。慎重なライディングを心がけていた小西だったが10周目の3コーナー入り口で、シフトダウンミスからグラベルに飛び出してしまった。かろうじて転倒は避けられたものの、順位は大きく落としてしまい結局、7位でチェッカー。それでも小西は2位に5点の差を付けランキングトップで最終戦に臨むことが出来た。事前テストで課題をクリアし、勝利でシリーズタイトル獲得をねらう。