Vol.203 今年の目標

正月気分も消え、いよいよ今年の準備に拍車が掛かって来た今日この頃。

このシーズンオフ、ウチのライダー達は盛んにトレーニングに励んでいる。熱心なのはナオ。他のライダーも一生懸命だが、ナオは目の色が違う。アイツは去年の秋にやっと4輪免許が取れ、オヤジに買ってもらった?バンにバイクを積んで、しょっちゅう練習に行っている。特にモタードの練習に余念が無く、秋に用意してやったCRF250モタード仕様を乗りまわしている。昨年の悔しさをバネに今年大きく飛躍が期待される。

龍太も負けじと、練習に行っている。龍太は今年、国内を脱出しアジアを主戦場にする。ウチのコラボしているチーム、MuSASHi Boon Siew HONDA MALAYSIAが龍太の今年のチーム。海外は大好き?みたいなので、良い結果を残して欲しいモンだ。

巧は今年もウチでJSBクラスにエントリー。アイツは速いんだからもっと結果が欲しい。今年は例年のやり方を止め、新たなトライをする。俺がこの数年見ていた中から導き出した巧用の、巧を持ち上げる作戦。この作戦が功を奏して全日本のチャンピオンまで登りつめない限り、アイツの将来は保証されない。

昨年チャンピオンを獲ったGP3。4スト元年とも言うべきシーズンだったので俺達も気合いを入れて臨んだ。マシン開発も積極的に行い、マシンの特性エンジンの耐久性などで豊富なデータ収集が出来たと思っている。昨年、ややもすると、エンジンが壊れやすい、耐久性が無いなどの“噂”が乱れ飛んだが、現実はそんな事は無く、俺達で1シーズン3個のピストン、1本のクランクくらいで済んでいた。それでもトップクラスのスピード、加速力を持っていたから問題無いんだろう。壊れるんじゃなく、壊した人達が多かったって事なんだろうね。昨年のデータを元にした部品開発、カムやエキゾーストパイプなどは今年用に販売しているから興味の有る方はどうぞご利用下さい。間違い無くパフォーマンスが上がるでしょう。

昨年から法人化された一般社団法人ART。全日本RR選手権を参加者の物にし、より透明性の高い選手権で、利便性を上げ、結果的に興行として成立する事を目的にしている。

全日本RR選手権はMFJ公認の元、各サーキットがオーガナイザーとなって行われている。したがって毎回参加している俺達参加者は、サーキットごとの運営形態、思考の違いに戸惑う事が多い。ARTを立ち上げ既に10年以上が経過したが、まだまだ俺達が満足するようなイベントには程遠い。

MFJ始め各サーキットも、ずいぶんARTの存在を認めてくれるようになり、意見も聞いてくれるようにはなったが、我々参加者にもある立場の違いによる“温度差”が邪魔をして、全員が満足するようにはなかなかならない現実がある。少なくとも我々サイドの温度差を無くす努力は必要と感じるが、これがなかなか上手く行かない。それはそうだ、メーカーと契約して仕事としてレース運営しているチームがあれば、片や友達同士で仲良く趣味としてやっているチームもある。

俺はこの温度差を埋める方法はひとつしかないと思っている。参加型と興行型の融合。

ARTへの登録方法もこれに合わせ、数種類の登録方法を用意している。参加するライダー、チームが自分の状況に合わせて登録してくれるようになるといいんだけど。

ARTの事務局も朝8時前から来る電話、遅い時には夜中の12時過ぎに電話して来る“強者”もいるから大変だけど何とか応えている。

大事な事は、MFJや各サーキットは個々の要望や意見は聞いてくれないけど、ART経由の要望には耳を貸す用意があるという事。

俺も縁あってARTの運営に携わっているが、自分のチーム単体で考えても“随分全日本も良くなった”と思えるようになった。まだまだ良くして行きます。皆さんのご協力をお願いして。