Vol.145   中止になったオートポリス

今大会の全てのレースを中止します。」
オートポリスのドライバースサロンに重い空気が漂った。MFJロードレース委員長杉本氏のキッパリとした発表だった。

毎年なぜか天候に恵まれない感が強いオートポリスで、とうとう最悪の場面が訪れた。

天気は誰のせいでも無いが、俺は何だか釈然としない思いがある。オートポリスで全日本が開催されるようになって早10年近くになる、初開催に先立ちコース視察とミーティングで、初めてオートポリスに向かった時、(確か4月の上旬だったと記憶している)大津の国道から通称ミルクロードを登り始め、牧草地帯が広がるあたりで強烈な雪!それも半端じゃない。地吹雪という言葉を聞いた事があるが、まさしくそれだった。
なんとかオートポリスにたどり着いた時は、嘘のように雪がやみ、峠道の眼下に見えたコースはまるでヨーロッパのコースを彷彿させる見事なサーキットだった記憶がある。

会議の前に俺達が体験した地吹雪?を始めとした天候の事が話題になった。オートポリスの担当者古田さんの言葉「この不安定な時期が過ぎると1年間でいちばん天候が安定するんですよ」

初開催の時期は、各施設(サーキット)の要望を聞いて、最後に空いた日程が確か6月の梅雨の時期だった。俺の記憶が正しければ、天候には恵まれ、初めてのレースという事もあり大勢の観客が押し寄せて来てた。その後、毎年のように開催時期が変動し、近年はこの時期に落ち着いてきた、そして毎年天候に悩まされる事になっている。

オートポリスは全日本を開催する施設としては日が浅い。したがって日程調整会議の場では、古くからやっている他施設が優先されている。

俺達のロードレースは天候によって見に来てくれる観客に面白くもつまらなくもなる。普通の雨ならまだ我慢も出来るが、併せて霧や風となると・・・
オートポリスは標高こそ800mそこそこだが、完全に山間の特徴を持った施設なんだ。俺達や選手会がどんなに頑張っても天気には勝てない。
全日本の活性化や発展観客動員を望むなら、全施設に話が出来るMFJが、過去の天候や観客動員を調査して、各施設の開催時期をコントロールして欲しいモンだよ。
ロードレース委員会で今回の事態が発表され、来年の日程調整会議に反映される事を切に願っていますよ。

オートポリス単体の損失は知るすべもないが、チーム・ライダー・関連会社・観客も含め、全体損失は計り知れない。
ビショビショになりながらなす術もなくたたずんでいた親子連れやカップル、レインスーツを着たまま延々と待たされていた125の若いライダー達、このウィークの仕上げの日に何も出来ないで空を見上げているメカニック達、みんな怒っている表情じゃない。全員が悲しそうな眼をしていたよ。

俺?事前テストからずーっと準備してきたみんなを見、どうにもならない損失を考え、泣きそうだったよ。