Vol.122  最後のテスト

すべてのテストが終わった。
今週のタイヤテストで8耐前のすべてのテストスケジュールが終了した。毎週鈴鹿に通い、8耐に向け考えうるすべてのテスト要件をこなしてきた。

今年は初めて3人のライダーで行くのでマシンのセッティングが難しかった。ライダーは自分の好みのセッティングがありその状態にならないと真価を発揮出来ないのだ。その事は俺達も分かっているのだが、耐久レースとはそういう物なのだとある意味達観してもらわないといけない。
いつもなら一人のライダー(毎年小西がその役目だった)にその役目を担ってもらっていたが、今年は安田にもそれを強いている訳だ。毎年安田は自分のセッティングでレースを戦ってきたので戸惑いが大きく、なかなか馴染めなかったようだ、それは当り前のことで、1000ccのバイクを操らせ、(早く走れ、燃費を考えろ、転ぶな、タイヤをいたわれ)いろんな事を言われて多分安田も頭の中はパニック状態だったと思う。

最後のテストの時辰也が「社長のコラムで俺が我慢出来るようになったって言ってたけど、なんの意味か分からない」言ってた。俺達がライダーに対して真価を発揮できるように、どれだけ考えて持ち上げてるか、感じてないのだ。逆に考えればいいことだ、気を使わせて無いという事だからそれだけ走りに集中出来る。

三人のタイムが少しずつ想定したものに近づいてきた。あと少しタイムが欲しいけど口をそろえて言うのが「バイクが遅い」確かに見ていても速いとは言えない。それは燃費との兼ね合いで、エンジンが欲しがるだけのGASを与えていないので分かっている事なのだが現状ではどうする事も出来ない。最後のセッションで、フルマップ(燃費無視のスプリント仕様)で走らせてあげた結果、変わらない。(苦笑)
毎週テストに来て耐久仕様に慣れてきた身体は簡単に変わらない証明になった。
耐久ウイークにはまた元に戻しキッチリ走り込んでもらおう、それが出来た時俺達が待ち望んでいた成果が得られると思っている。

先週TSR藤井から電話があって、テスト止めようよって言ってたのを真に受けた俺だけど、結局TSRもテストを予定通りやるのを知って、俺達も最後のテストに行ったのは正解だった。

毎週(毎晩)鈴鹿に行って早朝から深夜?まで、厳しい耐久ウイークもほどなく終わりを告げる。(汗)今、最後の仕上げ作業に入っている俺達が、本当の最後の夜(決勝の夜)に美味い酒が飲めるか・・・。