Vol.71  ’07最終戦を前に

先週は悲しい出来事があったね。
ノリックのお通夜に参列して焼香してきた。
もう15年以上も前になるだろうか?まだ少年だったノリックがお父さんと連れ立ってRS125Rを引き取りに来た時の、まだあどけなさの残った嬉しそうな顔が忘れられない。その後アメリカに渡り、ダートトラックで腕を磨き、日本に戻ってロードレースを再開したいと相談に来た時には、驚くほど大きくなっていた。
その後の活躍は知っての通りだ。

レーシングライダーは危険な仕事である。
保険に入るのでさえ難しい職業なのだ。
まさか街中で事故に遭遇するとは本人も夢にも思わなかった事だろう。日頃から若い選手にレーシングテクニックを教えながら、安全面での教育も徹底していただろうに・・・スペシャルな人間がまた一人、この世から去ってしまった。
ご冥福を祈ります。合掌。

今週は最終戦の鈴鹿だ。
シーズン序盤は出遅れた小西も、何とか最終戦を前に追い付いた。ヤスも順調にJSBのマシンに慣れ、トップグループの常連になってきた。
先週は最後のテストで鈴鹿をがっちり走りこんだ二人が、最終戦の鈴鹿で暴れてくれることを期待する今日この頃。
俺達も最後の詰めなのでキッチリマシンを作り上げなければならないので、相変わらず夜中休日関係無くマシン整備に没頭している。

俺達は普段、レースをやるために仕事をしている。
俺達のような職業には二種類のやり方があると思う。
一つは俺達のように、レースをやりたくて仕事をしているタイプ。もう一つは、仕事(会社)をうまくいかせるためにレースをやっているタイプ。いわゆるプロモーション活動。
レースの現場では同じように見えるけど、スタッフ達の思い入れはまったく違うんだな。
前者はプライベート的な考え方、後者はメーカー的な考えに分類出来る。
どちらがいいか、どちらが好きかの判断はお任せするとして、一つのレースの中に二つの思惑が混在しているところが面白い。完全なプロのレースと言い切れないのが日本で行われている選手権なのだ。

先日来TV等で話題になっているプロボクシング亀田選手の話も似ているなーと思った。チャンピオンの内藤選手はボクシングをやりながら仕事をしていた。片や亀田選手は?最初からブランドを作り、徹底的なプロモーション活動により世界戦にまでのし上がってきた。好き嫌いは置いといて、その取り組み方に興味を持つよ。

最近、日本という国は長い歴史があるにも関わらず、物の本質的な部分を軽んじているように思えてならない。
前述のボクシングでもそうだ。
自分がやっているボクシングの、その頂点に位置するチャンピオンを侮辱するような言動は、逆に自分がチャンピオンになった時の自分を否定する事にならないかな?そんな単純な事が分っていない訳が無い。要は、それも含めて面白おかしく報道し、数字を欲しがるメディアに問題があるんだろうな。

日本という国はどこまで落ちて行くんだろう?
全てがお金?
伝統とか文化とかをも愚弄したような報道姿勢に疑問を抱くのは俺だけじゃないだろう。

少なくとも俺達のレースはそうなって欲しく無い。