Vol.68  リアルスポーツ!

柔道の世界選手権で谷亮子選手が優勝したね。
決勝を迎えるまでの集中した顔と、終わっていつものニコニコ顔に戻った時、その差に凄さを感じたよ。
14年間、出場する度にチャンピオンになる。すばらしい事だと感心する。
インタビューを見ていて自然に涙が出てくるのはなぜだろう?あの人の人柄?その試合振り?人を感動させるのに作り物では無い、自然にTVを見ていて伝わる何かがあるのだと思う。

最近のTVは、若い見栄えのいいスポーツ選手がいればすぐに飛び付き、盛んに放映する。最近少し収まった感があるけど、ゴルフの宮里藍選手の過熱放映振りはいささか食傷気味でさえあった。
彼女がしたり顔で分ったような事を言う試合後のインタビューなどと比べ、谷亮子選手のインタビューが、何と爽やかで人の心に訴えるものだろうと感じたのは、俺だけでは無いだろう。単純に強い弱いの問題じゃなく、積み上げた実績とそれを守るために人には言えない苦しい修練が、顔ににじみ出てくるのだとも思える。

スポーツというものは参加して楽しく、観てもまた楽しい。
それがスポーツの良さでもある。
人によって感じ方が違うから一概には言えないけど、参加する場合は厳しく苦しい練習で培った技術を100%出し切った結果の喜びがあり、観る場合は自分が絶対に出来ない素晴らしい技術を見る事でどれだけ感動を得られるかの楽しみである。

俺達のやっているバイクレースはどうだろう?
人に感動を与えられるだろうか?
参加している人達は100%で戦っていける環境だろうか?
難しい問題である。

俺は気の向いた時、自分に時間のある時にこのコラムを書いている。俺達のやっているバイクのレースが少しでも人に興味を持ってもらえればと考えるからだ。
ライダーだって頑張っている奴は多い。
40過ぎてもなおトップランクされている伊藤真一。
8耐で見事な走りを見せた岡田忠之。
二人とも若い頃はもてはやされたもんだ(失礼!今も?!)。
80年代の過当競争を勝ち抜いてきた二人は、当時のレベルが異常に高く、その当時の技術の貯金が今の連中とは比べ物にならない位あるのだろう。当時の残党がまだたくさん現役で走れているのがそれを証明している。
ベテランライダーの言葉にはやはり重みがある。
前述の谷選手のように。

若い経験の少ないライダーでも、速くは走れる。
それはマシンの進化によるところが大きい。
その中で少しでも速くなりたいと努力すれば少し抜け出る。それを見た奴がまた頑張るとまた速くなる。そういう奴がたくさんいれば、レベルはどんどん上がるのがバイクレースである。
俺達がそういうライダーをサポートしていかなければならない事は言うまでも無い。
多くの有望な若いライダーが、俺達に感動を与えてくれるようにならなければ、観る人達の感動がある訳無い。
若年からベテランそれを取り囲む俺達、全員で取り組まないとせっかくの素晴らしいモーターサイクルスポーツが、感動を与えるどころか廃れてしまう。

さあ!俺達は取りあえず目先の事からだ。
岡山を攻略しなければ。