Vol.19  日本GPもてぎから鈴鹿へ

ちょっと遅くなってしまったけど、今年ももてぎのGPに出場した。
今年は125クラスに2台、250は周平が出場で、合計3台ものエントリーである。
俺達は、1988年から日本で開催されるグランプリに休むことなく出場しているが、これはワークスチームを除けば世界で唯一のチームなんだ。日本のチームがGPに出場出来る条件は、自国の上位ランカーであることが条件なんだが、毎年GPに出場出来るポジションにいられることはとても幸せなことであると同時に密かに誇りに思っている。
全日本選手権を戦っているライダーがグランプリに出場する時にいちばんの問題がガソリンだ。全日本は開催しているサーキットのガススタンドで販売している無鉛のハイオクガソリンを使用することが規則により決まっているので、エンジンの仕様もそれに合わせたものになっている。グランプリに出場する場合はグランプリの規則に合ったガソリンを使用しなければならず、仕様の変更を余儀なくされるのだ。簡単なようだが、これが意外に厄介で、基本部品を根こそぎ変更しなければならない。一年に一回しか出場しないレースのために用意する部品も毎年使える訳ではないのでコスト負担が大きい、国際ルールが基本となっているレースなのにそれに合わない規格で行われている日本国内のレース、おかしな国だ。

レースでは博一が大活躍して初優勝した。金曜日のセッションから安定した走りを見せていたし、その落ち着いた態度と絶対に自分が勝つんだというゆるぎない自信が完璧な勝利をもたらす伏線になっていた。
もちろん俺達だって頑張ったよ、周平もホントに頑張ってたし、ただ少しだけ足りないものがあったんだな。
俺はレースをやってていつも思うんだけど、チーム一丸となって100%頑張ってもマイナスしてしまう部分がある、必ずある。それがそのレースに勝てない、足りなかった部分なんだ。長い事やっててもあるんだな、残念だけど。でも周平はまたひとつ勉強したし、痛い目を見た分だけ必ず成長すると信じてるんだ、レースは負けた時の方が得るものが多いからね、俺達もそうだし周平もそう。
レースが終わって博一がウイニングランしてる時に、俺は130Rのコース上で待ってた。ヒロのチームのスタッフには悪いけど、俺は誰よりも早くヒロと握手したかったかからね。本当に嬉しかったよ。

グランプリが終わってヒロに夕食一緒にと誘われたが、俺は断った、ホンダのサービスショップミーティングが予定されてたから。懇親会があって、二次会では久々に暴れたよ、池さんや藤井共々。レースの疲れもあって気持ち良く飲めたし、良く寝られた。

翌週は鈴鹿での全日本。
ST600のヤスは、今シーズンのキーポイントになるレースだったので、マシンの組み立てやエンジンも含めて総見直しをチーフの堀尾に頼んでGPに行ってたので、レースでは思い通りのスピードが戻ってきてたのが嬉しかった。レースは負けたけどマシンは負けてなかった、
次はもっといいレースが出来るだろう。
この2・3年TSRチームとのトップ争いが続いている。
藤井とその事について話をしたら彼曰く、「きっとトップ争いをする上での考え方が同レベルなんだろう」だそうで、確かに思い当たる節がたくさんある、だからこそ負けられない。

周平はいつものブッチギリレースだった、GPのうっぷんをはらすものだった。
小西が・・・でも、今のやり方を続けて行けば必ず戻ると思ってやってるんだ。

中上貴晶が約束の6位以内に入った。俺は以前タカに、「6位以内だったら携帯プレゼントするよ」って約束してたから、レースが終わってタカにその事を言ったら、メチャクチャに嬉しそうだった。
でもタカ、俺の携帯より高いのにしないでな。