Vol.1  2004年のTeam HARC-PRO.

第1回のコラムは、今年のうちの全日本の結果を振り返りたいと思います。

まず2004年のTeam HARC-PRO.は、2003年に全日本ロードレース選手権史上でも稀にみる好成績を揚げ、3クラスチャンピオンという結果を残しました。そして2004年は、かつて経験したことのない立場で開幕戦に臨むこととなったのです。
新たなクラスへのチャレンジということでJSB1000クラスへの参戦を開始し、全日本開催全クラスにエントリーすることになりました。これは、全日本トップチームとしての立場を確立する意味で、本当の意味でその実力が試させる年と、自分を始めチームスタッフ全員が認識して開幕戦を迎えたのです。

125クラスは、若いライダーの育成の場と今年は考えました。
ライダーとして起用した高橋巧は14歳。彼が2004年シーズンにどれくらい伸びるか、そして我々に関しては彼がどれくらい実力を発揮させられるか、問われることになります。
結果を見ると、実力的に少し足りなかったのかなと思います。ですが彼はまだ14歳の中学生ですから、今年の貴重な体験が来年以降の彼のレースキャリアに生きてくるはずです。
250クラスは、昨年の125チャンピオンである青山周平を起用し、上位ランキングをねらうべく、チャレンジしました。今季は周平にとって経験を積む年と、我々は認識していました。
今年、JSB以外は全部で7レースと、非常に数少ないレース数の中で周平の実力がどれくらい伸ばせるのかという我々の興味を含め、期待を持ってシーズンインしました。
結果的にはシリーズランキング2位となりました。初めてのクラスということで、セッティング能力、集中力に関して少し足りなかったのがランキング2位という結果になったのかもしれません。それでも数多いベテランライダーのいる中、彼らを押しのけてのランキング2位ですし、表彰台を逃したのは第6戦の鈴鹿のみですから、及第点はあげられると思います。課題をクリアすれば、チャンピオン獲得は果たせると考えています。
600は安田毅史一人の参戦となりました。去年の安田の状況を踏まえ、今年はシリーズチャンピオン獲得を目標としました。ですが序盤につまずき、特にウエットレースとなった筑波でトップを走りながら転倒したあのレースは、後半戦の戦い方に大きく影響を及ぼしました。でも紛れもなくトップライダーの地位は確立できましたし、来年のシリーズチャンピオン候補最右翼として、ST600クラス3シーズン目を戦ってほしいと思います。是非チャンピオンを獲ってほしいですね。
JSB1000クラスは、チームとして初めて本格的に参戦するクラスとなりました。これまで125や250、ST600クラスでは上位を走ってきたわけですが、JSB1000クラスという新たな戦いの場で、チーム力を証明することになったのです。参戦初年度にはなりますが、我々の実力というものはしっかりと最初から証明したいと考えていました。
結果としては、2度の表彰台を得てシリーズランキングは6位。ライダー小西良輝の実力、ハルクプロの実力を含め、もう少し行ってほしい気はしますが、まぁまぁ満足のいく結果だとは思っています。今年得たノウハウを基に、来年以降はさらにその真価を発揮したいですね。マシンをさらに強力なものに仕上げ、チーム力で後押ししてチャンピオン争いに加わっていきたいと思います。

今年Team HARC-PRO.は、全日本4クラスのほかに、鈴鹿8時間、4時間、もて耐、さらにはパシフィックGPと、考えうる国内の主要なレースすべてに参戦しました。全日本で言うと、4クラス以外にGPモノという新たなクラスにも参戦しています。日本のレーシングチームの中で、これだけ多くのレース、クラスに参戦しているところはほかにないでしょう。8耐は結果を見れば残念なものでしたが、Team HARC-PRO.は耐久でも侮れない存在だ、ということは知らしめることができたのではないでしょうか。あのレースを通じて、自分たちも自信をさらに得ることができました。
もて耐は、1000ccが全盛という状況の中、ライダーのポテンシャルをうまく発揮することでどこまで勝負できるかというところに重点を置き、600ccのマシンであえて参戦しました。結果は3位でしたが、自分たちの中では十分に満足を得られる内容でした。ただ、我々のようなレーシングチームが600ccというマシンをチョイスし、全力でがんばっても3位という結果を見ると、今のもて耐が置かれている状況というものに対し、主催者には考えてほしいと感じました。

今年はチャンピオンを獲ることができませんでしたがそのことで、今年初めてチャンピオンの偉大さ、大変さを痛感することができました。これは、チャンピオンを獲得するという経験をしないと認識できないことなんだと改めて痛感したことですが、そういう意味で、今年のシリーズチャンピオンの四人のライダ