2021年全日本ロードレース選手権第5戦 MFJ-GP

 

 

RACE1

 

 

 

 

 

RACE2

 

 

 

 

 

名越哲平

「予選は2回赤旗が出たのですが、全部のセッションを先頭で出ていき、結果的にベストは2分7秒0でしたが、感覚的には6秒台に入る手応えがあり、良いフィーリングで走ることができました。その後、うまくセッティングが噛み合わなくてタイムは伸びきらなかったのですが、しっかりベストが7秒0、セカンドベストが7秒2と一発タイムだけではなく、安定したタイムを出すことができたのはレースに向けてポジティブでしたし、レース2は自身初のフロントロウ3番手ということで、予選としては良い内容でした。レース1に関しては、自分の引き出しが沢山あるわけでもありませんし、技術面も上位勢と比べてまだ甘い部分があるのは自覚しているので、序盤からプッシュしてなるべくトップグループの中に入り、一緒に走ってペースの上げ方や抜き方が自分とどう違うのかという勉強しようと思い、とにかくプッシュしました。トップの中須賀克行選手(ヤマハ)は非常に速いペースでアベレージもよく、安定感があったので差は大きなものであるのは間違いありませんが、その中でも2位表彰台を獲得できたのは、満足できる結果です。レース2はスタートを失敗してしまい、だいぶ後ろの方まで下がってしまって追い上げるのに時間とタイヤを消耗してしまいました。それでもなんとかトップグループに追い付きましたが、そのときにはもうタイヤも体力的にも結構きつい状態で、最後は出し切った感じで離れてしまいました。悔しいですが、自分としては攻めて出し切った結果が4位なので、受け入れたいと思います。前半戦はまったくトップが見えない位置を走っていたのですが、ここにきてようやく先頭が見える位置まで来たので、そこは自信になりましたし、トップライダーと走ることにより、改めて自分とのレベルの差を確認できました。その差が簡単に埋まるとは思っていませんが、なにが足りないか実際にレースで見ることができたので、これをイメージし、少しでも早く追い付き、そして前に出られるように取り組んでいきたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

 

榎戸育寛

「初日転倒、さらには二日目も転倒し、それで全てが止まってしまいました。特に二日目午後の転倒で、マシンを十分に確認できないまま翌日の予選になってしまったので、そこは本当に痛い転倒になってしまいました。4月、5月と鈴鹿へテストに来て、そのデータがあったのに活かせずに終わってしまい、非常にやりきれない気持ちでいっぱいです。唯一、ポジティブな面としては、完走してポイントが獲得でき、ランキングは2位に留まることができているということで、まだまだ諦めるのには早いと思っています。特に残り2戦の岡山国際、オートポリスに関しては苦手なサーキットではないので、バイクの理解度も含め、丁寧に集中しながら戦っていきたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

埜口遥希
「初日17番手、二日目12番手と苦しいスタートになりましたが、チーム一丸となってセットアップを進め、予選はフロントロウ3番手となりました。好位置からスタートできるので積極的にレースを進めようと思ったのですが、スタート直前に雨が降ってきてディレイにとなり、なかなか難しい状況になってしまいました。少しリスクがありながらもスタートがうまく決まり、トップで2コーナーを立ち上がることができました。すぐ小山選手に抜かれ、何とか付いていきながら様子を見て、天気が悪くなってきたら仕掛けて前に出ようなどいろいろ考えていました。でも実際にはそこまでの余力が今日の自分にはなく、3番手で走行を重ねましたが、その位置を維持するだけで精一杯の状況でした。そうした苦しい中で得た3位表彰台ですので上々で、嬉しい気持ちがないわけではありませんが、自分たちは優勝をねらって戦っていますので、悔しい気持ちの方が強いです。今回は結果的に負けましたが、まだ本気でやりあえたとは思ってないので、次はしっかりとマシンを仕上げ、攻めきった上で納得できる結果が得られるようにしたいと思います。」

 

 

 

 

 

 

 

成田彬人

「今回も苦しいレースウイークになりました。なんとか出口を見つけようとメカニックと相談しながらセットアップを進めたのですが、なかなか良い方向に行きませんでした。そこで、本田重樹会長と話をし、今後の可能性に賭けようということになり、予選前に大きくセットアップの方向を変えました。賭けではあったのですが、先の伸び代を考えるとその方法がベターだと感じたので、そのやり方を選択しました。最初は乗りにくかったのですが、今後の自分の成長に繋がる手応えはあったので、そこはポジティブなレースとなりました。とは言え、レースは勝ちをねらって戦っていますので、苦しい戦いではありました。でも必ずこの経験が今後の成長に繋がるはずなので、前を向いて進みます。」

本田光太郎チームディレクター

「今回の鈴鹿は事前テストがなく、木曜からスタートとなりました。とはいえ、前回の筑波の全日本で榎戸選手、埜口選手が優勝し、チームとしては非常に良い雰囲気でサーキット入りすることができました。エースライダーであるJSB1000の名越に関しては今年、なかなかいい結果が残せずに苦戦していますが、鈴鹿に関してはJSBマシンでのテストや、鈴鹿8耐への出場経験が多くあり、またチームとしても様々なデータがあるので、早くワンランク上の走りができるようにと今回もチームとして様々なトライをしました。名越もJSBのブリヂストンタイヤをまだまだうまく使えておらず、特に路面温度が低かったりグリップが悪いような状況で思ったようなフィーリングを得られないことがあり、ここまで苦しみました。でも今回の鈴鹿に関しては梅雨明けしたこともあり、路面温度も上がって、コース特性としてもタイヤに荷重がかかりやすいため名越が苦労している部分が顕在化しなかったため、今までと比べてしっかりとセットアップを進めることができました。その結果、予選も良いフィーリングで終えられ、しかもレース1を6番手、レース2で3番手というタイムはレース用タイヤで出したものだったので、自信を持ってレース1に臨めました。その結果、JSB1000に上がってから初めて表彰台を獲得できました。これはチームにとっても大きなことで、それはもちろんライダー本人にもとても大きな自信になるはずです。レース2に関しては、レース1の良いフィーリングがあったため、セットアップには大きな変更をせず臨みました。ただスタートで失敗してしまい、追い上げのレースになってしまい、トップに追いついていく中でタイヤを使ってしまって後半は厳しい状況になってしまいましたが、それでもトップグループに加わって走ることができ、最終的には4位でしたが、現状からすると、良いレースができたと思います。ST1000の榎戸に関しては、4月、5月、6月と鈴鹿でテストする機会があり、その中で非公式ですがコースレコードを更新し、非常に良いデータを持っていたので期待していた部分がありましたが、コンディションがテスト時から変化したことに合わせきることができず、苦戦してしまいました。そんな中でランキングは引き続き上位をキープしていますし、今回苦しかったのですが、まだまだチャンスはあるので、次から巻き返したいと思います。ST600の埜口に関しては、前回筑波で優勝し、やっと本人も今年は安定してトップ争いができる確信を持てるという状況になってきました。今回もレースの勝負所やどういう展開としていくか、というところに主眼を置いてレースウィークに作業を進め、その中で3番グリッドを獲得でき、課題である一発タイムも少しずつ改善してきているのは良い流れでした。レースは現状のランキング上位3人の争いになり、その中で同じホンダのバイクですし、自分たちの強み、相手の強みというところで駆け引きをする展開になりました。その中で少し相手に対し、自分たちの強みを生かしきれない部分があり、全力でアタックできなかったのは残念です。ライダーは非常に頑張っていますので、チーム全体のパッケージングとして、もう少し改善できるようにしていきたいと思います。ST600の千田に関しては残念ながら木曜日の特別走行で転倒してしまい、特に高速の130Rでの転倒だったため、残念ながら左手を骨折してしまうことになりました。無理をすれば乗れない状況ではなかったかもしれませんが、再度転倒した際のリスクや、満身創痍の状況では満足できるレースはできないだろうということで残念ながら欠場届を出しました。今回、ケガのためにレースを走れなかった悔しさがあるでしょうし、まだ若いので、これをしっかり反省材料とし自分の糧として次戦以降に繋げてほしいなと思います。J-GP3の成田については、なかなか本人が今年のパッケージへの順応に苦労しており、気持ちよく走れる状況になっていません。鈴鹿が得意ということで、チームとしても期待をしていたのですが、なかなか良い方向に進むことができませんでした。本人の努力で改善している部分もあるものの、現時点ではやはりライダー、バイクのセットアップ両方に足りない部分が多く、現状のリザルトになってしまいました。残り2戦ですが、少しでも来年に繋げられるよう、チームとしてもいろいろサポートをし、何とかライダーの良いフィーリングが早く戻ってくるように流れを持っていきたいと思います。来月8月はレース開催がなく、事前テストのみとなります。次は9月上旬の岡山国際大会となり、残りはあと2戦。しっかりと戦ってチャンピオン獲得、あるいはそれに準ずる結果が残せるよう、頑張ります。引き続き応援のほど、宜しくお願いいたします。」