2019年全日本ロードレース選手権 第6戦岡山国際

水野 涼
「とにかく悔しい! の一言です。決勝は今のバイクになってから初めてのウエットでしたし、レース序盤は手探り状態でした。スタートはフロントローだったので、トップで飛び込んでみましたがすぐ野左根選手に抜かれてしまい、どこまでついて行けるかという我慢比べになりました。ただ、自分のイメージ以上の速いペースで走ることができたのは収穫です。前回のレースでは負けた悔しい思いとJSB1000クラス初表彰台での嬉しさと半々でしたが、今回はとにかく悔しい気持ちしかないです。次回は勝ちをねらいます。」

名越哲平
「金曜日は天気が曖昧で、路面は最初うっすらウエット。そこからライン上だけ乾いていく中、テストを走ってなかったのでレインタイヤで身体を慣らすようにしました。午後はドライになり、車体の違いも分かったし、コースへの慣らしもしました。ベースのセット自体はできてたので、そこから少しアジャストし、とにかく周回を稼ぐことを重視しました。決勝は雨のセットがズレていたというか、乾いてきたのに普通にウエットセットで走ったのでグリップ感がうまく取れませんでした。そのあたりは自分の経験不足だと思います。ウエットはこのマシンになってから感触が良く、自信もありましたが、今回はセットを外してしまったのがすべてだと思います。でもタイトル獲得に向けて最低限の仕事はできたので残り2戦、思いきり行きたいと思います。」

榎戸育寛
「決勝は短い時間の中でドライからウエットへのセットの変更となりました。賭けの部分もありましたが、結果的にそのウエットへのセットアップ変更がうまくいきました。2周目にトップに立ってからは自分でリズムを作りながら走りました。後ろから岩﨑選手が迫ってきているのは気付いていましたし、差が詰まるところ、離れるところを確認して、差が詰まるところの走りの精度を高めることに集中しました。筑波の雨のレースも勝ちましたし、今回また雨で勝てたので、そこで強さを見せられたのは自信につながります。残り2戦しっかり戦い、ドライでも勝ちたいと思います。」

上原大輝
「雨のレースになり、自分は得意なのでチャンスと思いました。レースウイーク初日の金曜日も1本目もウエットで、そのフィーリングも良かったので自信を持ってグリッドに並びました。思惑通りスタートが決まり、かなりの台数を抜いて1コーナーに入ったのですが、シフトアップした途端ハイサイドし、そこでかなりの台数に抜かれてしまいました。そのあとはぜんぜんタイムも上げられず、フィーリングも良くなくてまるで氷の上を走っているような状態で、自分で合わせていくしかなかったのですがなかなかうまくいかず、レース終盤にやっと43秒前半まで出るようになってきたのですが、そこが限界で、これ以上攻めたら転ぶって思い、ポイント獲得に切り替えて走り切りました。雨だったので自信がありましたし、正直、入賞圏内は入れると思いましたしスタートも決まったので、この結果は残念で仕方ありません。」

本田重樹監督
「水野はJSB1000クラスでのライディングに対し、自信が確信に変わりつつあるのが感じられるレースでした。水野にとっても我々サポート側にとっても、現マシンでは初めてのウエットレースになりました。そうした状況のため、パーフェクトとはいえないセットではありましたが、それでもトップ争いが出来たのは水野の成長の証と言えます。あと一段上がれば頂点。今シーズン中にそれが実現出来る可能性が見えたレースでした。J-GP2クラスの名越はGPを挟み、体力的にもマシンとコースの違いに戸惑ったレースでした。我々サイドも雨量の読み違いで、苦しいレースを強いてしまいました。それでも最低限の結果を残し、ランキングも僅かな差ながらトップを死守したのは今後に向けて大きな収穫です。今後の戦いに希望が持てるレースでした。対して、元々ウエットに自信を持っている榎戸は、今回も他を圧倒する完勝でした。ランキングも上がり、チャンピオンも狙える位置に上がって来ました。今後はドライでのレースで結果を残したいところです。ST600クラスの上原は今シーズン、自分を見失っている感があります。バイクを速く走らせる能力があるのは間違いないので、早く形になって欲しいものです。ノーポイントレースが続きましたが、今回念願のポイントをゲットした事で、今後はプレッシャーなく伸び伸びと走ることが出来る状況になりました。」

堀尾勇治チーフメカニック
「まずはJ-GP2の榎戸、優勝おめでとう! 事前テストは名越がグランプリ参戦のため参加できないことから、情報を共有するためにも、タイヤなどのテスト項目に積極的に取り組みました。その結果、テストをトップタイムで終えることができました。ところがレースウイークに入り、テストでトップタイムを出していたというところでちょっと気負ったころが少しあり、さらに彼なりにいろいろトライしている中で少し走りのリズムが狂ったりして予選は失敗してしまいました。でも決勝はもう一度自分の中でしっかり仕切り直しをし、見事主導権を握って優勝できたのは今後に向けても良かったですね。それに対して名越はヨーロッパへの武者修行から帰ってきて事前テストしていない中、予選ではもう少しでポールポジションが取れるところまで進みました。レースはフルウエット、ドライ寄りのウエット、その中間という3種類のセットアップがあったのですが、金曜日の1本目のハーフウエットでのフィーリングが良くなかったこともあり、名越はウエット寄りのセットを選択しました。ところが今回のレースは路面温度が高いために、雨がさっと降っても止むとどんどん乾いていってしまいました。そのあたりの思惑が外れてしまい、かなり厳しいレースになりましたが、それを転ばずに最低限の5位という結果を得たのは良かったと思います。ST600は、今季ここまでポイントが取れなかった上原がそれをゲットし、最終戦に出る権利を得ることができました。ポイントが取れ、その呪縛から解かれたので、オートポリスでは思い切り走って一皮むけると良いですね。JSB1000の水野は前回、観客を沸かすレースをしてくれました。今回は23歳の野佐根と21歳の水野という若い2人が、ここまで全日本を引っ張ってきている中須賀、高橋という二大巨頭を上回るペースでトップを争いました。岡山は涼にとって得意のコース。そういう意味で自信満々だったはずですが、あの車体になって初めてのウエットレースということで、厳しい状況だったと思います。でもその中でライダー側でなんとか対処し、一瞬でも野佐根を追い詰めたのは大きな意味があると思います。残り2戦、水野にはぜひ表彰台の真ん中に立ってほしいですね。チーム一丸となって、その後押しをしていきます。」