2018年全日本ロードレース選手権第9戦 MFJ-GP

RACE1

RACE2
水野涼
「今回は2レースあり、第1レースは自分の中で良いレースができたと感じています。対して第2レースは雨量が少なめで、自分たちの置かれた環境の中では選べるハードも少なく、うまくコンディションに合わせたレースは難しくなりました。また自分自身の課題も第2レースでは明確になり、とても厳しいレース結果ですが、勉強になるレースともなりました。予選では自己ベストも出せ、速いライダーの後ろに着くことができ、自分の乗り方、マシンのセットアップがまだまだJ-GP2的であることがよく分かりました。それが分かったのは大きな収穫で、そのあたりをしっかりと詰め直せば自ずと順位は上がってくると思うので、来年はすごく楽しみになっています。」

名越哲平
「レースウイークの入り自体は良い雰囲気で入れたのですが、前回の岡山同様、ある程度のタイムまではすぐ行くのですが、そこから先になかなか進めないという状況になってしまいました。決勝日になって雨になり、鈴鹿であのマシンをウエットで走らせるのは初めてだったのですが、チームが持っている豊富なデータからマシンをしっかりセットアップしてくれて、とても気持ちよく走ることができました。決勝は雨量が少なくなり、それに対応したセットアップをチームが施してくれたのですが、朝のウォームアップとフィーリングが違ってしまったので、そこでライディングを合わせるのに少し手間取ってしまいました。抜かれてからもう一度気持ちを落ち着かせ、仕切り直しして攻め直したらタイムも順調に上がり、トップに出てからも自分のペースで最後まで走ることができました。ウエットでもまだまだ速さを追求したいですし、それができればドライでも速く走れると思うので、そのあたりはしっかり意識して取り組んで行きたいと思います。」


上原大輝
「今回はレギュラーのメカニックをしてくれている飛鳥井さんに加えて、アジア選手権でSS600を担当されている仲地さんもサポートに来てくれて、三人で戦ったことがとても勉強になりました。木曜、金曜のフリー走行のセッションの中で、仲地さんが持っているロガーのデータと、自分の走りのデータを比較して、現状ではマシンのセッティングというよりも、自分自身のライディングで詰められるところがたくさんあるということが分かり、さらにはどうしてそういう走りをすべきなのかという理由のところも仲地さんと飛鳥井さんに教えてもらって、ウイーク中ずっと、ホテルに帰ってもそのデータを見て、自分の中でイメージ作りをしました。その成果が予選で出て、初日が2’18秒台、二日目が2’17秒台だったのに、2’15.347というタイムが出せました。本当は14秒台をねらっていたのですがそれができず、決勝朝のウォームアップ走行でそれを出したかったのですが雨になってしまい、そこはすごく残念です。雨は前から良いフィーリングで走れていたので、ある程度自信を持って臨むことができました。終盤になってなんとか5位を奪おうと勝負に行ったのですが、130Rでハイサイドを起こし、飛び出しそうになって終わってしまいました。でも常にトップを見ながらレースができましたし、前のライダーの走りを見て、自分とどこが違うのか勉強になたので、それは来年にしっかりと生かしたいと思います。」

本田重樹監督
「JSB1000クラスの水野は2レース制となる最終戦、周回数の短いレース1では、積極的に飛ばしましたが、レース終盤にソフトのレインタイヤが悲鳴をあげ、8位でチェッカーとなりました。レース2はコースコンディションが微妙になり、ハーフウエット用のタイヤを持たない我々は成す術もなくポジションキープが精一杯のレースとなり、14位でのゴールとなりました。J-GP2は、このところトップグループの常連となってきた名越が朝のフリー走行では後続に1秒以上の差を付けていました。決勝ではその優位性を存分に発揮し、一時トップを取られるものの、終盤には余裕を持って後続との差を開き、見事な勝利を収めました。ランキングも3位まで上げ、全日本ルーキーオブザイヤーも獲得しました。ST600クラスは、ドライ路面ではトップとのタイム差が埋まらず苦戦していた上原ですが、決勝ではウエット路面となり、ドライ時ほどの開きがなくなりました。レースではトップグループからは離されてしまいましたが、自分の持てるものを出し切り、今季のベストリザルトとなるトップから3秒遅れの6位。トップとのベストタイム差もコンマ4秒で、来年に期待が持てるものとなりました。今シーズンもたくさんの応援をいただき、ありがとうございました。来年はさらなる成績を出せるよう引き続き頑張ります。応援、宜しくお願いいたします。」

堀尾勇治チーフメカニック
「JSB1000クラスの水野は前回のレース後にプライベートテストをすることができたのですが、コンディションが今ひとつ安定しない状況で、うまく詰め切れずにレースウイークとなってしまいました。なかなかその流れを変えられず、そうした中でもメカニックを務める本田光太郎社長が水野のライディング面でまだやるべきところを指摘しつつ、マシン面でもそれができるようにバックアップしながら進めていきました。決勝は雨になってしまい、本人の足りないところというのがそこでもまた明確になり、でもそれは水野自身も自覚できたようなので、レース結果は厳しいものでしたが、収穫のあるレースだったと思います。それが分かるまで結果的に1シーズンかかってしまったわけですが、現時点で遠回りしているように見えても、結果的に前に進められればそれで良いので、この経験を大きな成長に繋げてほしいところです。J-GP2クラスの名越は、今季の総まとめとしてなんとしても勝たせようとチーム一丸となって臨んだのですが、やはりドライコンディションではライバルに対してもう少し速さが必要ということを痛感するウイークになりました。チャンピオンを獲った岩戸選手と比較して、鈴鹿8耐でも同じような仕様のCBR1000RRに乗って1秒差があり、それはJ-GP2のドライでも同じ。そこが現状での名越の課題だと思います。とは言え、ウエットでの速さは見事でした。決勝は雨量が少なくなることと哲平のライディングのバランスを見て、高めの過重に対応できる車体セットに変更しました。その部分で序盤は少し違和感があり、慎重な走りになったみたいですが、それもレース中にうまくアジャストでき、終盤の独走に繋げたのは見事でした。この速さを来季はドライでも発揮してもらいたいところです。ST600クラスの上原もウエットでは自信があり、対してドライでの速さが課題となっています。徐々に良くなってはきていますが、何しろJP250チャンピオンとしてST600クラスに上がってきていますから、周囲の期待値も高いわけです。今回もトップが常に見える6位の位置を走り切ったわけですから、それはそれで評価に値するのですが、周囲の期待値が高い分、なかなか良い評価に繋がりません。かわいそうですが、それだけ周囲が期待しているということですし、まだまだ伸び代はあるので、本人の頑張りに期待したいところです。」